デフ・レパードが語る、モトリー・クルーとのジョイントツアー、ライブ・バンドとしての誇り

今回のツアーのセットリストについて

―今回のワールド・ツアーでは、随所に『Diamond Star Halos』の楽曲を配しながら、ヒット曲満載で出し惜しみのないセットリストで演奏されてきましたよね。日本公演でも同傾向の演奏内容になるのでしょうか?

フィル:日本ではまだ今回のツアーでの曲たちをプレイしていないわけだから、今変えてしまったら日本に対してアンフェアになってしまう。実際、ツアー中のセットリストについても少しずつアップデートされていて、やっていくうちにどんどん良くなってきたんだ。だから多分、ウェンブリー・スタジアムとかでやった時に近い曲目になるんじゃないかな。

―デフ・レパードには「この曲をやらないとファンが納得しない」というマスト・チューンがとても多いですし、だからこそセットリストに変化を付けにくいところもあるはずです。そこでの難しさ、不自由さを感じることはありませんか?

フィル:いや、そんなことはないよ。たとえばラスヴェガスでレジデンシー公演(=同一会場での連続的公演)をやるとする。そういった場合はたいがい2時間半のショウをやれるから、「White Lightning」みたいな隠れた名曲をやれる余地があるんだ。でもツアーの時は、来場者たちが聴きたいと思うはずの曲をプレイしないといけない。俺だって、好きなバンドを観に行った時に、絶対聴けるはずだと思っていた曲が聴けなかったらガッカリするもの。だからそこは慎重にやらないといけない。もちろん新曲はやるさ。仮にほとんどの観客がその曲を知らなかったとしても、だんだん馴染んでくる。そして、やらないわけにいかない曲というのがある。「Pour Some Sugar On Me」とか「Love Bites」「Photograph」「Rock Of Ages」「Let’s Get Rocked」といったあたりは絶対外せないし、そうなってくると他の曲を入れられる時間はあまり長くない。そこでいろんなものをちょっとずつ披露できるよう工夫しているんだ。

―ちなみにセットリストは主に誰が作成しているんですか?

フィル:リック・サヴェージはその作業が好きなんで、彼が書きだすことが多い。ただ、やるべきことはかなり歴然としているし、それこそ『Hysteria』からは絶対に何曲かやらないといけないから、新曲は3曲までといったことになってくる。それ以上盛り込むとバランス的に多すぎるからね。あとはそういった曲をどこに配置するかという問題になってくるだけだ。だからさほど難しい作業ではないし、誰にだって出来るさ。何が必要かさえわかっていればね。



―日本では『Diamond Star Halos』のツアーが実現していませんし、オーケストラとの共演作である『Drastic Symphonies』の曲を今回やるのにはちょっと無理がありますよね。この先、この2作品に重きを置いたツアーを改めて実施する可能性はありますか?

フィル:ある意味、今回がそうさ! いまだに『Diamond Star Halos』のプロモーションを継続しているし、そもそもこのスタジアム・ツアーを始めたのはそのためだったわけだからね。そして『Drastic Symphonies』のライブをやるにはオーケストラが必要になってくる。それについては今もオファーを待っているけど、これもまたバンド側だけで決められることではない。どこかの国のプロモーターが「是非とも我が国に来てシンフォニー・オーケストラと共演してもらいたい!」と言ってくれないと話が始まらないからね(笑)。もちろん自分たちとしては是非ともやりたいところだ。シドニーのオペラハウス、ロンドンのロイヤル・アルバート・ホール、LAのハリウッド・ボウルで実現出来たら素晴らしいし、日本にもそれをやるのに相応しいシアターがあるはずだ。でも、まず誰かに声をかけてもらえないとね(笑)。

―実現を願っていますよ。ちなみに今回のジャパン・ツアーは横浜での二公演のみという非常にコンパクトなものですが、会場がKアリーナ横浜だというのはひとつのトピックになるはずです。開業まもない大型アリーナで、音響的にも視覚的にも素晴らしいんです。そうした新会場、未知の場所での演奏に臨むというのはどんな気持ちなんでしょうか?

フィル:その質問に対する回答はメンバーによって違うかもしれないけど、俺的にはあまり関係ないかな。スタジアムやアリーナだろうと、シアターやクラブだろうと、そこにファンが居てくれさえすればどこも同じなんだ。毎晩違うのはバンドではなくファンだからね。俺はイヤーモニターを装着して演奏しているから、聴こえてくる音は毎晩ほぼ同じ。演奏と歌が標準レベルに達してさえいれば、すべて上手くいくんだ。ただ、自分が見たことのない新しい会場でプレイするのは好きだよ。いまどきのテクノロジーが活かされた視覚効果とか、建物自体の見栄えが素晴らしい会場もあるからね。ラスヴェガスに新設されたスフィアという会場は知ってる? U2がこけら落としをやったばかりだけど、あそこでのライブというのは、まるで次元の違う新しい体験というべきものらしいよ。そこでもいつかやってみたいし、同じように今回はKアリーナでプレイするのが楽しみだ。

Translated by Mariko Kawahara

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