シャバカ・アンド・ジ・アンセスターズ来日目前 UKジャズの王者とアフリカを巡る物語を紐解く

 
アンセスターズ初来日公演がスペシャルな理由

もともと南アフリカのシーンに根強かったジョン・コルトレーン~マッコイ・タイナー由来のスピリチュアルで壮大な世界観を軸に、より自由で即興演奏に比重を置いているのがアンセスターズの特徴だ。2016年のアルバム『Wisdom Of Elders』で聴かれたようにシャバカは多くのプロジェクトでリズムに特化した演奏をすることも多いが、アンセスターズではリズムに縛られずに自身のイマジネーションを最大限に表現するようにサックスを奏でていることも多い。即興演奏家としてのシャバカのより自由な側面が聴けるのがアンセスターズだ。

そして、名門インパルスに移籍してのアルバム『We Are Sent Here By History』(2020年)では南アフリカ屈指のドラマー、トゥミ・モゴロシをはじめとした敏腕メンバーたちが南アフリカ固有のリズムを駆使しながらシャバカと一体化し、まるで激しいメディテーションをするように唯一無二のパフォーマンスを聴かせている。サンズ・オブ・ケメットやコメット・イズ・カミングで聴かれるようなUKのクラブミュージックやグライム、ジャングル、カリブ海由来のレゲエやダブ、ソカなどの影響も取り込んだハイブリッドなサウンドとは異なり、パワフルかつ瞑想的なサウンドは儀式を思わせるもので、言葉そのままに“スピリチュアル”な音楽性を感じさせる。音楽ジャンルとしてのアフリカやスピリチュアルジャズではなく、アフリカ由来の“スピリチュアルさ”をここまで深く探求した音楽はUSやUKではほかに思い当たらない。アンセスターズの音楽はそのくらい他に類を見ないものだ。おそらく彼らのライブはショウというよりは、その世界に巻き込まれるような「体験」になるのではないかと僕は思っている。




ちなみにシャバカ・ハッチングスは近々サックス奏者としての活動を一旦やめることを明言している。近年は日本で買った尺八を愛用し、新たな表現を模索している。つまり、奇才のサックスを日本で聴くことができる(当面の)ラストチャンスになる可能性もある。

彼はちょうど、今年の9月にLAのハリウッドボウルでフローティング・ポインツとともにファラオ・サンダースに捧げるコンサートを行なったばかり。フローティング・ポインツが生前にファラオ・サンダース、そして、ロンドン交響楽団とともに制作した『Promises』を再現するもので、シャバカは故ファラオ・サンダースの代役的なポジションでこのコンサートに抜擢された。ファラオがずっと君臨していたスピリチュアルジャズにおける唯一無二のポジションの重責を今、担うことができる存在がシャバカなのだ。

あの高い評価を得たLAでのコンサート後、シャバカが日本で演奏することがスペシャルであることは間違いない。今回の来日公演を見逃す手はない、と僕は断言する。



シャバカ・アンド・ジ・アンセスターズ来日公演
2023年11月6日(月)・7日(火)ビルボードライブ東京
開場17:00 開演18:00 / 開場20:00 開演21:00
サービスエリア¥9,400-
カジュアルエリア¥8,900-(1ドリンク付)
>>>詳細・チケット購入はこちら

〈メンバー〉
Shabaka Hutchings / シャバカ・ハッチングス(Tenor Sax, Clarinet)
Siyabonga Mthembu / シヤボンガ・ムテンブ(Vocals)
Mthunzi Mvubu / ムトゥンジ・ムヴブ(Alto Sax)
Ariel Zamonsky / アリエル・ザモンスキー(Bass)
Tumi Mogorosi / トゥミ・モゴロシ(Drums)
Gontse Makhene / ゴンツェ・マクヘーネ(Percussion)



【チケットプレゼント】
シャバカ・アンド・ジ・アンセスターズ

11月6日(月)・7日(火)にビルボードライブ東京で開催される来日公演の1st / 2nd Stageに、Rolling Stone Japan読者2組4名様ずつご招待します。

【応募方法】
1)X(Twitter)で「@rollingstonejp」「@billboardlive_t」をフォロー
2)ご希望の日程・ステージ(1st/2nd)を明記のうえ、下掲の投稿をリポスト

【〆切】
2023年11月1日(水)
※当選者には応募〆切後、「@billboardlive_t」より後日DMでご案内の連絡をいたします。

 
 
 
 

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