Skaaiが語る「一度死ぬ」理由、求められる役割の認識と新たな挑戦

Skaai(Photo by Yukitaka Amemiya)

2022年にEP『BEANIE』で鮮烈なデビューを飾ったラッパー、Skaai。トレードマークの眼鏡姿も印象的で、繊細さと大胆さが共存する言語センスとフロウで、複雑なメロディも乗りこなす新世代ラッパーとしてリスナーたちの話題をさらっていった。多くのライブやフェスへの出演もこなす中、先日、2作目となるEP『WE’LL DIE THIS WAY』をリリース。この1年で起こった出来事や感情の変化、表現者としてどのようにリスナーと向き合っていくのかなど、多岐にわたって話を聞いた。

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―約1年前に1stEP『BEANIE』がリリースされて、今回は2作目のEPです。この1年で、生活にも大きな変化があったのではと思うのですがいかがですか?

『BEANIE』は、これまでの23年間の歩みを歌にしたという感じだったんですけど、今回の『WE’LL DIE THIS WAY』は、アーティストになってからどういう気持ちになったのか、1年間のストーリーを歌にしたという内容なんです。だから、表現する対象自体が全く違うので、だいぶ新鮮な気持ちですね。

―EPのタイトルからして挑発的な様子もありますし、何かの終焉を表しているのかなと感じました。

“Skaaiの変化について語る”、というのが、このEPの大きなコンセプトなんです。前のSkaaiから現在のSkaaiに変わっていく変遷を描いたEPで、タイトル“we”は、過去のSkaaiと今のSkaaiを含めた“僕ら”という意味。かつての自分は、「Skaaiが出てきたぜ、シーンのみんな、分かるか?」みたいな強気のテンションだったんです。その上で、セルフ・マネジメントをしたり、曲調に影響を与えたりしていた。

―「とにかくイケイケ!」みたいな? EPで言うと、「PRO」とか「SCENE!」には特にそうしたヴァイブスが満ちていますよね。

はい。でも、それにすごく疲れちゃって。本来、音楽ってそういうものじゃなくて、自由な気持ちで作るものだと思うし、葛藤があったんです。なので、ここで過去の自分を一回捨てようと思って。そういう意味で、“一度死ぬ”というコンセプトにしています。





―前半は強気な曲が多くて、後半の「TEMPO A」や「REM」はとても繊細な歌詞とメロディですよね。個人的には、Skaaiさんがだんだん鎧を脱いでいくような印象を受けたんです。今のSkaaiさんは、アーティストとしてどんな心持ちで活動していますか?

楽しむっていうことですかね。とにかく楽しむことを最優先に考えていて、そういう意識の変化はあります。





―変化のきっかけは?

音楽を始めてから、急激に体調が悪くなっちゃったんですよ。そもそも風邪なんて滅多に引かなかったのに、この一年で何度も風邪を引いてしまって。突然、自分の体の不調を認識するようになったので、「これは何かを変えなきゃいけない」と思い始めたんです。毎日、「Skaaiはどうやって動くべきか」とか、シーンから見たSkaaiのイメージを意識しつつ戦略を練っていたんですけど、多分、それ自体がストレスだったんですよね。だからそれを止めて、楽しんで、踊って、好きなように歌って、友達と遊んで、ってことをしたほうが、一番いいはずだ、とマインドが変わっていったんです。

―猛スピードでキャリアを築いて行っているなという印象があります。アーティストを生業として毎日を過ごす中で、理想とのギャップを感じることはありますか?

やっぱり、息苦しさはたまに感じることがありますね。自分が発した言葉が切り取られて……と言う話はよく聞きますけど、まさにそうだなと思いますし、逆に、なんでもないときに発した言葉が自分の歌詞以上に注目されたりすると、「音楽聴けよ」と思ってしまうこともあります。

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