ジョルジャ・スミス UKソウルの旗手が語る故郷での再出発、成長を遂げた5年間

「自分のホーム」で制作する意味

—『falling or flying』を制作するにあたって、何かインスパイアされる、あるいは参照した音楽はありましたか? 

ジョルジャ:参照にした音楽は特にないわ。昔はよく他のアーティストのサウンドを聴きながら作業したりもしてたけど、今は私の世界の中だけで作業するから。

—プロダクション面について、どういったことを今回は大切にしていたのか、教えてください。

ジョルジャ:プロダクションに関しては、自分自身が違和感を感じないこと、気持ちの良いサウンドを作ることが大切だった。何かを感じることができるサウンドを作ること。あらゆるフィーリングをね。悲しみでもいいし。とにかく、自分にとってしっくりくるサウンドを作ることが重要だったわね。


Photo by Ivor Alice

—日本人キーボーディストのアマネ・スガナミや、ギタリストのベンジャミン・トッテン、キーボーディストのマルコ・バーナーディスなど、参加したミュージシャンはどのように選んだのでしょうか? 

ジョルジャ:アマネは私のバンドにいるから、彼とはずっと前から一緒にプレイしてる。リハーサルからステージでのライヴまで、2016年とかそれくらいずっと前から一緒。ベンも前は私のバンドにいたんだけど、彼は本当に素晴らしいギタリスト。そしてマルコは、P2J(ナイジェリア系イギリス人プロデューサー、ビヨンセ『RENAISSANCE』など)が連れてきたの。彼はすごくクールで、なんでも出来ちゃう人。あと、J・ハスとLila Ikeは、私が彼らの音楽のファンで、一緒に仕事がしたいとずっと前から思っていたからオファーしたの。

—ヴァイオリニストのトム・アルドレンを中心とした若いストリングス・アンサンブルが要所要所で効果的にフィーチャーされていると思いました。このアイデアはどこから来たのか、またストリングスがあなたの音楽にもたらしたことを教えてください。

ジョルジャ:周りがずっとストリングスをフィーチャーしたがっていたの。ストリングスは、新しいエモーションをもたらしてくれたと思う。どの楽器も、それぞれ独自の感情をもたらしてくれるけど、ストリングはなんというか、悲しみとまでは言わないけど、気持ちを高めさせながらも、ちょっと悲観的な感情をもたらしてくれる気がするわ。



アリシア・キーズとの対談記事を興味深く読みました。そこでも語られていたことですが、『falling or flying』を制作して得られたことについて、改めて訊かせてください。

ジョルジャ:今回のアルバムを制作したことで、のびのびと作業することの大切さを学んだの。私は、これからも間違いなくもっと自発的であり続けると思う。もちろん、プロジェクトを完成させるためには締め切りが必要な時もあるけれど、締め切りがある場合でも、いかに自発的に作業を進められるかがすごく大切だと思った。今回は、流れに任せて、自由に、自分が自然に納得がいくまで曲を作るということがどういうことか、そしてその方法を学んだの。アルバムを作る上で、それは必要なことだと思う。

—今後も故郷であるウォルソールで暮らす予定ですか? その場所が制作にもらたす影響についてもぜひ教えてください。一方で、ロンドンのシーンや、ショービズの世界とはどうのような関係を保っていきたいと考えていますか?

ジョルジャ:もちろん旅はし続けたいけど、私が帰ってくる場所、住みたいと思う場所はずっとこの場所。やっぱり、私にとってのホームはここだし、一番自分らしくいられる場所だから。都会のように騒がしくもなく、圧倒されることもないしね。音楽を作り始めたのもここだし、ここにいると、落ち着いてられるの。それは制作にももちろん影響すると思う。ロンドンは、ショーをやったり撮影をしたり、仕事で時々行くのは好き。でも、長期で滞在するのはあまり好きじゃないのよね。どっぷりではなく、ちょっと距離があるくらいの方がちょうどいい。たまに行くくらいが私には一番合ってるんじゃないかな。




ジョルジャ・スミス
『falling or flying』
発売中
再生・購入:https://famm.orcd.co/fallingorflying

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