YOSHIKIが語る、THE LAST ROCKSTARSに込めた「想い」と「願い」

YOSHIKI Photo by @ogata_photo, Styling by Yasuhiro Watanabe (7B), Hair and Make-up by Takaki Toshihiro (SEED&beauty)

11月21日から東京・有明アリーナで開催される「THE LAST ROCKSTARS The 2nd Tour 2023“PSYCHO LOVE”」。THE LAST ROCKSTARSが表紙を飾った「Rolling Stone Japan vol.22」(2023年3月発売)のカバーストーリーから、YOSHIKIのインタビューを転載する。

【写真まとめ】THE LAST ROCKSTARS on Rolling Stone Japan

4人の輝けるロックスターによるスーパーバンド、THE LAST ROCKSTARS。その中心となるのがYOSHIKIであり、YOSHIKIはこれまでロック界・音楽界の常識をぶち壊してきた人物でもある。そんなYOSHIKIはこのバンドで何を壊し、何を成し遂げようとしているのか?

ーTHE LAST ROCKSTARSの船出となる東京、ニューヨーク、ロサンゼルスの公演が無事に終わりましたが、まずはライブの感想と収穫を聞かせてください。

YOSHIKI そうですね……まだちょっと終わったばかりで意識が朦朧としているというか、何が起こったのかよく分かっていないんですけど(笑)。直前まで自分のやっていたオーディション番組のプロデュースとか他にもいろんなことが入っていて、リハーサルに合流したのが1月の中旬くらいだったんですね。そこからいろんな自分のアイデア、構想というのをメンバーと分かち合って、一気に作り上げたんです。その時点から作った楽曲もあるくらいで。まさに「Shine」という曲がそうなんですけど。

ー有明のライブではアンコール1曲目に披露され、みんなで合唱した素敵なバラード曲ですね。

YOSHIKI はい。リハーサルの前後でミーティングを何度も重ねて、みんなのアドバイスや意見を聞きながらなんとか組み立てることができました。これは自慢でもなんでもないんですけど、当日の朝までオープニングとエンディングSEを作っていたくらいなので。これまでにもかなりの数、修羅場をくぐってきたけど、人生のトップ10に入るくらい忙しかったし、濃かったですね。

ーその大変さが結実した素晴らしいライブで、会場は大盛り上がりでしたし、バンドの船出として、そして“ロックスターズ”という名前を背負ってのスタートとしては大成功だったのではないでしょうか。

YOSHIKI ありがとうございます。そう言ってもらえると救われます。まあ、自分としてもこういった名前を付けてしまった、これだけのメンバーを集めてしまったということで、“もう後に引けないな”という気持ちがあったので、リハに合流する前からですけど、1分1秒でも時間があったら“どうすればこのコンサートをより良くできるんだろう?”ということしか考えていなかったんですね。食事中はもちろん、寝ているときも夢に出てきたくらいで。目覚めたらすぐにスタジオに向かってアイデアを共有したくて、みんなにテキストを送ったり。それは僕だけじゃなくてメンバーもみんなそうだったので、ある種、バンドが一丸になったのかなと思いますね。

ー今回のライブ全体のプロデュースはYOSHIKIさんが担当されたそうですが、ライブの一番大きなコンセプト、YOSHIKIさん的にこだわった点を教えてください。

YOSHIKI まず、自分を含めてそれぞれの個性が強いので、その個性をちゃんと出す。そして、同時に個性を消す。実際、出来ている部分と出来ていない部分があると思うのですが、そのラインがすごく微妙で、どこまで出すべきか、出さないべきかというのが難しかったです。楽曲に関しても、この4人が集まったからといって、X JAPANとL'Arc~en~CielとLUNA SEAとMIYAVIが合体した音になってもしょうがない、誰にどんなテクニックがあっても関係ないと思っていました。例を挙げると、「THE LAST ROCKSTARS(Paris Mix)」という曲ですね。“Paris Mix”となっているのは、僕がパリにいた時にミックスしたからなんですけど。エンジニアはアメリカ人の有名なマーク・ニダムという方で、ミックス前の段階でギターのループとか、テクニカルなものがいろいろ入っていたのをマークが全部取っ払っちゃおうと。なるほど、そういう考え方もあるのかと思って、ストレートに踊れる曲を作りました。



ーなるほど。スーパーギタリストが2人もいるバンドなのに、ギターのループを消したと。

YOSHIKI ええ。ちなみに自分で言うのもヘンですけど、僕はこの楽曲を凄い曲だと思ってるんです。要するに、テクニック志向とか何かを見せるとかというのではなくて、“Bigidin Bigidin Ban Ban Ban”というフレーズが浮かんで、それをそのままメロディにした時に、これは名作だなと。なかなか自分でそう思うことはないんですけどね。その時に僕は周りにいたスタッフやエンジニアに“みんなこの曲の凄さはまだわからないと思う”って宣言したんです。もしかしたらバンド内でもわかってもらえていないかもしれないですし、ファンのなかでもどこまでわかってくれている人がいるのかわからないですけど、僕はこの曲は名作だと思っています(笑)。

ー確かに、つい口ずさみたくなる曲ですよね。すごくシンプルだけど力強い。HYDEさん、SUGIZOさん、MIYAVIさんとあらためて今回一緒にやってみて、YOSHIKIさんは3人をどんなアーティストだと思いましたか?

YOSHIKI やはり、ずっと第一線でやってきているアーティストだなと。10年ちょっと前に僕とSUGIZOが組んだ時(SUGIZOのX JAPAN加入時)も、自分の中では革命的だったんですよ、時代が動いたような感覚というか。彼と組んで、本当に僕はすごく光栄だと思ったし、素敵な仲間と組めるんだと思ったんです。また、HYDEとは「Red Swan」や「ZIPANG」という曲で共演して、やはりその時も時代が動いたと勝手に思っていて。MIYAVIとも、以前S.K.I.N.というバンドを組んでいたんですけど、今回またやろうとなった時、これもまた時代が動くなと。そのくらいの意気込みで僕は一人ひとりに接しているので、それが今まとめて4人でやっているなんて本当に凄いことです。第一線で活躍している、日本を代表するロックスターたちが自分と人生の時間を共有してくれている。その時間を無駄だったと思われたくないんです。楽しんでもらいたいし、“一緒にバンドをやっていてよかった”と思われたいというのはすごくありますね。

ー他のメンバーも同じ想いのようでMIYAVIさんはツアーが一段落して寂しがっていました。

YOSHIKI 刺激が強すぎたからね(笑)。多分みんな振り回されたと思いますよ、僕に。いろんな意味で。台風のごとく毎日突っ走りました。


「Rolling Stone Japan vol.22」表紙

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