クリストファー・エリスが語る、偉大な父のレガシー、レゲエを歌う理由

左腕に「ALTON ELLIS」というタトゥーを入れた理由

ー本気で音楽をやろうと思ったのはいつですか?

父が亡くなった時だね。2008年のことだ。その時に自分のキャリアについて考えて、アーティストになろうと思ったんだ。父が生きてた時はただ父の横で歌ってるだけで楽しかった。父が5曲歌って、そこで僕が呼ばれて歌う。そういうのをどこに行ってもやってたんだ。父から2回呼ばれて歌うこともあった。それで父が亡くなった時に、音楽をやりたい、これを自分の仕事にしたいと思ったんだ。そのタイミングが来たと思えたんだ。

ー生前のお父さんとは音楽について何か話はしましたか?

11歳の時からとずっと歌ってきて、18歳の時に仕事に就いたんだ。朝9時からの仕事だけど、9時になってもベッドで寝てる僕を父が見つけて、「おまえには仕事は無理だ。歌を歌うんだ」って言われたね。実際、朝ベッドから抜け出して仕事に行くのは無理だった。僕は夜型だし(笑)。元々シンガーになりたかったのもあるけど、父に言われてから、9時から5時の仕事が向いてないっていうのがわかったんだ。

ーお父さんが亡くなった時、24時間後にはスタジオに行って曲をレコーディングしたんですよね。

父が亡くなった時、悲しくて泣いてたよ。そしたら兄貴が来て、「泣いてばかりで何してるんだ? スタジオに行こう」って言うんだ。「スタジオ? 行きたくないよ」って思ったけど、ペッキングス・スタジオに連れていかれて。そこで父のトリビュート・ソングを父のリディムに乗せてレコーディングしたんだ。結果良い曲が出来たし、自分にとっても大きな曲になった。

ーあなたの左腕には「ALTON ELLIS」というタトゥーも入っていますよね。

そうなんだ。でもこのタトゥーは父が生きてる時に入れたものだ。確か19歳か20歳の時かな。父は僕自身が驚かされるほど素晴らしい人で、それは音楽だけじゃないんだ。人として、父として素晴らしい人で、愛情に溢れた人だった。子供たちにも「愛してるよ」って言ってキスをするんだ。ジャマイカ人としては珍しいと思うよ。僕はアルトン・エリスのことを父としても愛してるし、それでタトゥーを入れることにした。すべてが愛なんだよ。父のことはもっと多くの人に知ってもらいたいくらいだ。

ーあなたはアルトン・エリスのレガシーを受け継いでいるわけですが、アーティストになろうと思った時、どういうアーティストになろうと思いました?

正直言うと、わからなかった。僕がわかってたことは、レゲエ・ミュージックを歌いたいということだけ。どうやったらいいとか、自分のスタイルはどうとか、わからなかったんだ。ただただ自然にやってるだけだからね。自然にやれば僕はリアルになれるし、だからそれをやってるだけなんだ。他の誰かみたいになりたいと思ったこともないし、僕は自然にやることしかできない。アルトン・エリスのスタイルに近いとは思うけど、モダンな解釈も入ってる。オールドとモダンのミックスだと言えるね。フレッシュなサウンドだけれど、オールドスクールのフィーリングが入ってる。それを僕は無理にやろうとはしてない。すべてはナチュラルなんだ。

ー確かに、ロック・ステディ、レゲエのワンドロップのサウンドにあなたの声はスゴく合っていると思うし、今の時代の音として聴かせていますよね。

その通りだよ。ジュニア・ゴングからリディムをもらうたびに言われたことがあってね。モダンでコンテンポラリーなリディムだと僕の声は生きないけれど、レゲエのワンドロップのリディムだと僕は自然に歌えるし、メロディもすぐに出てくるらしいんだ。そう言われて、なるほどなと思ったよ。レゲエのワンドロップだとすぐに何でも歌えるんだ。「What we have is better than love to me♪」とかすぐに出てくるんだ。もちろんモダンのリディムもできるけどね。

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