小林武史が語る、「通底」をテーマにライブを開催する意味

何気ない日常の中に「ユニバース=宇宙」を感じる

─そして最後は『茶の間ユニバース』。5月12日に袖ケ浦市⺠会館にて荻野目洋子さん、MOROHAをフィーチャーしたイベントです。

小林:先ほどの『super folklore(スーパーフォークロア)』の話にも通じますが、何気ない日常の中に「ユニバース=宇宙」を感じるというか。例えば茶道の茶室のように、色々なものが色々な役割をもって融通無碍に重なり合い、その中に生じる小さなユニバースがテーマです。「日常」と真摯に向き合い表現をしているアーティストとして、まず思い浮かんだのがMOROHA。凛としたギター1本で演奏していく感じが、「茶の間ユニバース」を象徴する存在のような気がしたんですよね。そして、彼らと通底する存在として、荻野目洋子さんをキャスティングしました。

─意外かつ、ユニークな座組です。

小林:荻野目さんご本人もすごく興味を持ってくれているので、今からとても楽しみです。そして先日発表になりましたが、内房総の主ともいえる(笑)、氣志團の翔やん(綾小路 翔)が出演してくれることが決まりました。

翔やんとは、以前からChim↑Pomのエリイも含めて繋がっていたんです。彼の中にはちょっと面白い禅問答のような要素があって、そういうところを僕のアレンジやプロデュースによって、宇宙的なところにまで引っ張っていけたらと思っていますね。そして、ここにもアオイヤマダが登場してくれる。どんな化学反応が生まれるのか、全く想像がつかないからこそ楽しみです。

─お話を聞いていると、小林さんが描く未来についてのオプティミスティックなビジョンは、次世代アーティストとの積極的な交流によって生まれているように思いました。メインストリームで活動しながら、その一歩外側にあるオルタナティブな動きにも常にアンテナを張っているのは、どのようなモチベーションからなのでしょうか。

小林:メインストリームはメインストリームでとても大事ですが、そことはまた違うところで面白い子たちはたくさん出てきているし、彼ら彼女たちをもうちょっとこう……フックアップできたらとは常に思っています。それもやっぱり、「つながるはずのないものがつながる、つながっている」というイメージを提示するうえでも大切なことなのではないかと。いずれにしても、今は頑張りどきなのでしょうね。


Photo by Takuya Maeda





総合プロデューサーに音楽家・音楽プロデューサーの小林武史、各地の芸術祭をディレクションする北川フラムをアートディレクターに迎え、千葉県内房総5市(市原市、木更津市、君津市、袖ケ浦市、富津市)で開催している「百年後芸術祭〜環境と欲望〜内房総アートフェス」。小林武史プロデュースによる音楽とアートを融合したライヴパフォーマンス「通底縁劇・通底音劇」のチケットは絶賛発売中。

「百年後芸術祭~環境と欲望~ 内房総アートフェス」

会期:2024年3月23日(土)-5月26日(日)
定休日:火・水曜(4月30日、5月1日は除く。一部施設は通常営業)
開催時間:10:00-17:00
*作品によって公開日・公開時間が異なる場合がございます。
チケット(税込):一般3,500 円/小中高2,000 円/小学生未満無料
百年後芸術祭:https://100nengo-art-fes.jp/uchiboso/ 
通底縁劇・通底音劇:https://100nengo-art-fes.jp/event/通底縁劇・通底音劇/

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