Crossfaithインタビュー「俺らはアミューズメント的な存在でありたくない」

―なるほど。そういえば、シンギュラリティって来ると思っている人にしか来ないという説があるんですよね。人口知能に飲み込まれると思っている人たちだけが人工知能に飲み込まれるだろうと。どう思いますか?

Teru:バンドマンは人工知能に飲みこまれないと思うし、特に俺たちCrossfaithはそこに関しては自負がすごくあるんですよね。いくらチェスや碁がコンピュータに負けようが、俺たちにしかできない音楽をやっている自負がすごくある。ライブもそうだし音源もそうだし。

―結局、音楽を作る側も聴く側もその程度にしか音楽とか芸術とか表現に対して何かを求めてないからシンギュラリティなのかもしれないし。つまり良くも悪くも音楽がただの娯楽になってしまっている。

Teru:本当にそうでだと思います。

―で、そのこと自体を問題とするのかどうか? 個人的にはこのアルバムはそこを含めての問題提起なのかなぁと思っています。

Hiro:そう感じてくれたのはうれしいです。以前、アメリカツアーに行ったときのことなんですけど、ワープドツアーのお客さんがティーンエイジャーが多くて、自分が昔行っていたライブハウスとは全然違って、アミューズメントパークに行くくらいのノリでお客さんがイベントに足を運んでるのを感じたんです。で、それが僕はすごく嫌だったんです。自分がライブハウスや、バンドや、メタル、ハードコア、ロックに感じていたものが軽んじられているように思えたので。で、今の自分たちのお客さんにもそれを感じるときがあるんですね。俺らをある種のアミューズメントパークのように見ている、そういうレジャー的なものの一つとしてCrossfaithが使われてるんじゃないかって思うときがあって。

けど、俺らが音楽を好きになったときはそうじゃなかったし、今も僕自身はファンの前でアミューズメント的な存在でありたくないんですよ。従来、音楽も芸術も、もちろん教会に頼まれて描くキレイなものもあったと思うけど、個人の苦悩を描くものもが多かったはずです。そういう苦悩だったりが音楽や芸術の本質にあるものだと思うんです。しかも、そういうものは人間にしかないんじゃないかなと思うし。そういう感情をお客さんの中に送り込みたいんです。決して一過性のレジャーの一部じゃなくて、苦悩とちゃんと対峙するようなバンドであり続けたいなって思いますね。

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