the pillows 山中さわおが語るバンド30年の歩み「抜け出した方が人生はすごく居心地がいい」

山中さわおが語るロックバンドの才能とは?

―ロックバンドとしての才能って何なんですかね?

今から言うことは若い時の自分は絶対納得できないことだったけど、人間力と音楽力、この2つとも持っているのが最強なんだけど、どっちかが弱いとしたら音楽力が弱いほうがロックバンドとしては成功している例が多くて。そのバランスはあると思うんだけど、音楽力は高くて人間力が75点ならいいけど、人間力が20点じゃ無理なんだと思う。それはビジュアルも含めてなんだけど。

―言い得ていると思います。

要するにロックバンドは、やりたいことだけやって生きていこうって、ものすごくずうずうしい発想じゃないですか? それをやるのに、まさか神様は平等だと思ってるのか?っていう。平等じゃないのは当たり前で、配られたカードの手で、手が悪くてもいかに勝負していくかってことじゃないですか? 自分も昔はステージでどう振る舞っていいのかわからないし、それこそインタヴューでどういうふうに喋っていいのかもわからなかった。でもいい曲といい歌詞はたぶん書いてたので、だから自信もあった。だけど、昔のビデオとか見ても全然魅力ないし全然カッコよくない。見た目は今よりカワイイんだけど(笑)。でもロックバンドとしてはカッコよくない。人がお金を払って見に来てくれるのにはなかなか大変なことだぞっていう感じで。「the pillowsっていいらしいよ」っていう評判を聞いて、試聴機とかで聴いて「いい!」っと思って、そのCDを手にとってレジに持っていくまでがめちゃめちゃ大変っていうか。今はストリーミングの時代だからちょっと違うんだろうけど、僕らの時代は「the pillows いいらしいよ」が結構長い間あったっていう(笑)。悪口は言われない。「だっていろんなミュージシャンがいいって言っているんだからいいんだよ。でも俺はCD持ってないけどね」みたいな(笑)。

―BUSTERS(the pillowsファンの通称)予備軍だけはいっぱいいたと(笑)。それにしても、人間力の部分でいうと、所謂カリスマ性が高いロックスターのような存在が最近はどんどんいなくなっている感じがしてしまいます。

若手で言うと、演奏はすごく上手いけど、ロックの魔法で何か起こすんじゃないかっていうドキドキ感が、おじさんの目から見たらちょっと少ないのかな。優等生が8〜9割って感じで。僕らの世代は不良がロックをやっていたって感じだし、そっちは今はもうヒップホップにいっちゃったんじゃない。ヒップホップの方に悪いヤツらがいる感じだよね。

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