大麻ベイプの模造品台頭、違法メーカーの実態とは

テクノロジーを駆使して消費者を守るAirgraft社

今回の危機が起きる前から、ベイプ業界の問題を予測していた者もいる。その証拠がAirgraft社だ。同社のビジネスモデルの基本となるのは「口に入れるものには注意を払うべし」という考え方だ。2018年創業のAirgraft社は、テクノロジー会社兼大麻会社を自認している。同社の創業者兼CEOのムラデン・バーバリック氏いわく、彼は従業員らと長年大麻業界の諸問題の解決に乗り出し、ベイプの透明性の欠如に原因があると警戒してきたという。「どこから来たかもわからない茶色い液体を口に入れるなんて、どう考えてもおかしいでしょう」と彼は言う。現在Airgraft社では、専売のベイプ本体と専用ポッド(カートリッジに代わるもの)を販売している。付属するモバイルアプリは、1回の吸引でどのぐらい吸い込んだかを計測する機能がついているだけでなく、巷で出回っている汚染製品や偽造品から消費者を守るためのヒントをベイプ企業に提供してくれるかもしれない。

「ポッドを本体に装着すると、本体がそのポッドを認証します」と、バーバリック氏は説明した。「ポッドには暗号化された署名がついていて、当社のサーバー経由でないとアクティベートできません。またポッドは当社の充填機で補充され、ライセンスを持つ公認業者でのみの取り扱いとなります」 さらに、蒸留物や増量剤を一切使わない「100%植物オイル」だそうだ。ポッドを使うにはアプリでアクティベートする必要があり、ひとたびアクティベートされると、ユーザーには自分が消費している製造分の完全な検査結果が提供される。「より透明な、管理の行き届いたクリーンなベイプ。誰もが喜んで摂取でき、二度とあのようなことが起きないと信用できる製品を作るのが目的です」

万が一汚染された製造分がAirgraft社のプラットフォームを潜り抜けてきた場合でも、各ポッドにはキルスイッチがついているため、会社側がスイッチを起動すれば吸引できなくなるという。こうした安全機能は業界全体でも実用可能だとバーバリック氏は言う。「弊社の充填機はサーバーに繋がっていますし大量生産も可能です。ポッドにチップを埋め込んでおけばどのポッドも追跡できます」と同氏。「そんなに難しいことではありません」。テクノロジーを使えば今まで手に負えなかった問題も、解決することは可能です」 唯一考えられる欠点は、全国規模で大麻が合法化されるまで大麻の利用が監視されるということに、一部のユーザーが腹を立てることぐらいだ。

だが、Airgraft社が危機以前から存在していたという事実から、汚染の可能性はずいぶん前から存在していただけでなく、予測可能だったことが透けて見える。さて問題は、誰が業界のクリーン化の責任を負うべきか? TribeTokes社やAirgraft社のような先見の明を持ち合わせていなかった企業が、より安全な業界作りを担うべきか? あるいは、消費者が、公認販売所でしか購入しないようにして、自衛するべきか? 政府がもっと積極的に違法販売を取り締まるべなのは明らかだ――たとえ、急速に拡大する市場では決して容易いことではなく、金がかかるとしても。当面は、ベイプの安全性を確保する最善策は消費者啓蒙と最新テクノロジー、そして規制が一体となって取り組むことだろう。それか、今まで通り乾燥大麻を買えばいいだけだ。

Translated by Akiko Kato

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