ホット・チップのアレクシス、全アルバムとキャリア20年を本音で語る

5.『In Our Heads』(2012年)



─ジョーは2015年のViceの企画で、このアルバムをトップに選んでいました。

アレクシス:僕もとても気に入っているよ。どのアルバムにもそう言ってる気がして、ちょっと心配だけど(笑)。

─いいことです(笑)。

アレクシス:このアルバムはまだ一度も使われたことのない、全く新しいスタジオでレコーディングしたんだ。プロデューサーに迎えたマーク・ラルフはかなりの凄腕で、仕事のペースも早く、オーディオ・エンジニアとして僕らの作業を助けてくれた。彼のおかげでもっともスムーズに作ることができたし、これまでよりもずっと“いい音”で録ることができたよ。アートワークを担当しているニック・レルフとは、次作以降もコラボしている。このアルバムの全てに対して、僕は好意的に捉えているよ。



─手応えが大きかったと。

アレクシス:そうだね、このアルバムは全曲どれも好き。「Flutes」は今でもライブのハイライトになるし、「Look at Where We Are」はお気に入りの一つ。全体を通して力強い一枚だけど、かといってやりすぎていない。そこに心から満足している。僕らのファンでも、このアルバムが好きな人が多いんじゃないかな。未だに「Motion Sickness」とか、このアルバムの曲をリクエストされることが多いしね。あと、「Now There Is Nothing」は僕が書いてきたなかでも心底気に入っている。曲作りにおける悦びというのは、バンドで一緒に制作する場合と、自分でプロデュースする場合でフィーリングが異なるものでね。この曲は夢のなかから出てきたもので、それを形にできたことに興奮している。



6.『Why Make Sense?』(2015年)



─フェリックスは当時のインタビューで「初期の頃に回帰した」作品と話していたようです。

アレクシス:個人的には、初期の僕らをフィルターにかけたとは思っていない。『The Warning』では、コンテンポラリーなR&Bやポップミュージックからの影響を大きく取り入れていた。フェリックスが話していたのは、たぶんそういうことだと思う。

『Why Make Sense?』の制作中はハウスの影響を受けていた。シカゴハウスやディスコのプロダクション、様々なリズムを持つR&Bなどは『The Warning』と関連付けられると思う。ただ、それは意識的に戻ったわけではなく、僕らがアメリカのR&Bへの愛情を示したかったという感じだね。「Love Is the Future」ではデ・ラ・ソウルのポスをフィーチャーしている。デ・ラ・ソウルは僕らにとって重要な存在だから、彼をレコーディングに迎えられたのは感慨深かったよ。




Translated by Aimie Fujiki, Aya Miyahara

RECOMMENDEDおすすめの記事


RELATED関連する記事

MOST VIEWED人気の記事

Current ISSUE