1960年代のアメリカン・ポップスのリズムに微かなラテンの残り香、鳥居真道が徹底研究

鳥居真道の所有するロネッツ唯一のアルバム(再発盤)



バイヨンはブラジル北東部で生まれたリズムです。細野晴臣のファンには「北京ダック」(アルバム版)のリズムと言ったら話が早いかもしれません。ブラジル生まれのアコーディオン奏者ルイス・ゴンザーガがその第一人者として知られており、彼がウンベルト・テイシェイラと共作した「Asa Branca」(白い翼)は「第2のブラジル国歌」と呼ばれています。リーバーとストーラーは1951年に公開されたイタリアとフランスの合作映画『アンナ』の劇中で主演のシルヴァーナ・マンガーノが歌う「El Negro Zumbón」を聴いてバイヨンの魅力に取り憑かれたそうです。「El Negro Zumbón」の「ドンドドン」というピッチの低いパーカッションが担うパターンは「Be My Baby」のキックと同様です。

リーバー&ストーラーがプロデュースしたジ・エキサイターズの「Tell Him」(バート・バーンズ作)や「He’s Got the Power」(エリー・グリニッチ/トニー・パワーズ作)、「It’s So Exciting」、「Get Him」(バート・ラッセル、レイ・パスマンとの共作)などはバイヨン的なリズムが感じられますし、エルヴィスがヒットさせた「Bossa Nova Baby」はボサノヴァと謳っているものの、そのリズムはエキサイターズの諸作と同様のものです。このリズムを聴いてハーブ・アルパートの「ビター・スウィート・サンバ」を連想する人も多いことでしょう。バカラックのファンであればきっと「Bond Street」を思い出すはずです。ちなみにバカラックも自伝の中で「Be My Baby」タイプのビートのことをバイヨンと呼んでいます。

一方、フィル・スペクターがプロデュースした作品では、ジ・アレイ・キャッツの「Puddin’ N’ Tain」もバイヨン・タイプのビートと言えそうです。ザ・クリスタルズの「He’s a Rebel」のキックのパターンは「Be My Baby」と同様のパターンです。また、「He Hit Me (It Felt Like A Kiss)」や「Uptown」はハバネラ的とも言えるし、バイヨンのテンポを落としたものと見ることもできるでしょう。「Then He Kissed Me」のギターリフはリズムはハバネラのパターンです。他にもB・ソックス&ザ・ブルー・ジーンズの「Zip-a-Dee-Doo-Dah」のキックのパターンもやはり「Be My Baby」と同じものです。

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