URC50周年ベスト「愛と平和の歌」、世の中と身の周りをテーマにする歌たち

続いて14曲目、早川義夫「サルビアの花」。



はっぴぃえんどの前に登場して日本語ロックの最初の衝撃を与えてくれたのがジャックスで、そのリーダー早川義夫さん。1969年の最初のソロアルバム『かっこいいことはなんてかっこ悪いんだろう』に収録されていた「サルビアの花」。早川さんはURCのディレクターでもあったんですよ。はっぴぃえんどを露払いにするだけの資格があった(笑)。早川さんがこの曲を書いたのは21歳、好きな人が他の人のお嫁さんになる、どうして他の人のお嫁さんになるんだろうと、泣きながら花吹雪の舞う道を転げながら追いかける。さっきまでの温かいラブソングから劇的なラブソングに流れが変わってますね。『卒業』という映画がありましたが、back numberに「そのドレスちょっと待った」っていう曲があるんですよ。シチュエーションが全く一緒なんですけど、シリアス度は「サルビアの花」の方がすっと高いですね。back numberはもっと今っぽい、情けない若者が主人公ですね。さて、続いて15曲目。五つの赤い風船で「おとぎばなしを聞きたいの」。



この「愛と平和の歌」をテーマにしたDISC3の3曲目に五つの赤い風船の曲が入っているんですけど、あれは地の果てまで逃げるという曲ですね。地上の歌でしたが、この曲は海の底ですね。海の底まで逃げたとはいいませんが、そういうところまで行ってしまった。おとぎ話というと、日本昔話みたいな民話を想像される方もいらっしゃると思いますが、現実とは違うファンタジーという意味で使っているんでしょうね。現実の世界の夢が壊されてしまった、何に壊されてしまったのかというと戦争ですね。はっきりとは歌われていませんが、これはとってもファンタジックな反戦歌だなと思って聴いておりました。五つの赤い風船には、「まぼろしの翼とともに」という曲があるんです。御国のために死んだ幻の翼、はっきり特攻隊の歌なんですね。どちらを収録しようかなと思ったんですが、「おとぎばなしを聞きたいの」の方がこのアルバムの流れの中にはふさわしいかなと思って選んでみました。「まぼろしの翼とともに」に関心をもたれた方はぜひそちらもお聴きください。

Rolling Stone Japan 編集部

Tag:

RECOMMENDEDおすすめの記事


RELATED関連する記事

MOST VIEWED人気の記事

Current ISSUE