PANTAと鈴木慶一が語る頭脳警察の50年と事件の真相、ロックの未来

日本のロックと新しい夜明け

ーそうやって、いろいろやりながら日本のロックを切り開いて来たお二人ですが、今の日本のロック・シーンについてどう思われますか?

PANTA「最近は優秀な人がダンス・ミュージックとかヒップホップのほうに流れちゃってるね。だから、今バンドを一緒にやってる90年代生まれのメンバーたちは、自分たちが音楽をやり出した時にヒーローがいなかったって言ってる。俺たちがやり出した頃は、(ローリング・)ストーンズはいるわ、ビートルズはいるわ、マイルス・デイヴィスはいるわ、いっぱいヒーローがいた。そんな彼らに憧れて一生懸命やってきたわけで、ヒーローがいないというのは寂しいね」

鈴木「あと、若い人たちは過去の音楽も新しい音楽も並列で聴くようになった。例えばヒップホップってドラムをサンプリングしたりするじゃない? そうすると時代がわからなくなる。リズムにいちばん時代の特徴が出るから。ネットで音楽を聴くようになったことで、さらに時代がわからなくなった。そんななかで、これまで私たちの音楽を聴く機会がなかったような若い人たちが、偶然、我々の音楽を耳にする機会ができてきた。それはありがたいことではあるよね」


Photo by Hana Yamamoto

PANTA「ある意味、新しい夜明けだね。今世界中が一斉に同じスタートラインに立っている。いま、コロナの影響でライブハウスはどうするんだ?って騒がれてるけど、それ以前に、サブスクとかが普及してCDが売れなくなってきて、音楽のこれからのあり方はどうなるのかっていう根源的なことを考えなきゃいけない。でもね、こういう状況のなかで、これまでの考え方をブチ壊して飛び出てくるヤツが出てくるんだよ。どういうかたちで出て来るのかはわからないない。もしかしたら、それはAIかもしれない」

鈴木「必ず、お金のないところで新しい音楽が生まれる。制限がかかったところで面白いものが生まれるからね」

ーパンク、ヒップホップ、ダブ、みんなそうでしたね。

PANTA「今や新人とかベテランとか関係ない。男も女も関係ない。国も民族も関係ない。ビッグ・チャンスですよ」

鈴木「この後やる無観客配信ライブも世界中で見られるしね」

PANTA「そうだよ。ピコ太郎でも呼べばよかったな(笑)」


『zk/頭脳警察50 未来への鼓動』の主題歌として作られた頭脳警察の新曲「絶景かな」。6月の無観客配信ライブが行われたのと同じ会場、渋谷La.mamaで4月4日にライブ形式にてレコーディングされた。




zk/頭脳警察50 未来への鼓動
7月18日(土)より 新宿K’s cinemaにて公開
©2020 ZK PROJECT
http://www.dogsugar.co.jp/zk.html


No Lie-Sense
『駄々録~Dadalogue』
2020年7月29日発売
http://www.columbia.jp/nolie-sense/

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