SUGIZOが今だから語る、仲間たちとの出会いと「ライブアルバム」にこだわった理由

京(DIR EN GREY/sukekiyo)との出会い

-確かに。作品の話に戻って、今回2日間のライブの模様が2枚組で収録されていますが、今言っていた感覚を実感できる曲を挙げるとすると? SUGIZOさんのソロ入門編のような。

「禊」はJUNO REACTORリスペクトというか、自分がJUNOで十数年トランスをやってきた経験と、そこで学んだことをオマージュしています。サイケデリックなギターも、ヘヴィーなリフも、エキセントリックなシンセサイザーも入っていて。さらに和太鼓と尺八、アナウンスの声はペルシャ語。1曲の中に様々な国の要素が入っていることがすごく気に入っています。あと自分が表現したい世界観の楽曲という意味では「FATIMA」がすごく自分らしいと思っています。この曲はアンビエントサイケ、バレアリックな方向なんですけど、宇宙や自然とつながる快感、そのメッセージ性がとても伝わりやすいんじゃないかな。「DO-FUNK DANCE」は、自分の中のアッパー系サウンドの集大成ではありますね。あと、近年は4分打ちに飽きて、もっと複雑な奇数拍のリズムにハマっていた時期があって。「Lux Aeterna」は、その頃のアバンギャルドな音楽の集大成。挙げだすとキリがないですね。

-1日目と2日目、それぞれゲスト・ヴォーカリストを迎えているのも注目すべき点ですよね。みなさんSUGIZOさんと普段から交流のあるミュージシャンですが、まず1日目のゲストである京さん(DIR EN GREY/sukekiyo)との出会いは?

もともとDIRのスタッフや仲間が僕と近しい人たちだったんですよ。それでライブを見に行って、紹介してもらって。意外と最近で2005、2006年くらいですかね。

【画像】京(DIR EN GREY/sukekiyo)と競演するSUGIZO(写真)

-最初にDIR EN GREYの見た印象は?

初めて自分の後輩で脅威を感じるバンドでしたね。申し訳ないけど、ほとんどの若手に対して刺激や脅威を感じたことがないんですよ、このジャンルに関しては。なので、こんなすごい人たちがいるんだって驚きました。表現しようとしているもの、世界観が素晴らしくて。当時はまだそこに演奏や音がついてきていない感じはあったけど、それ以上に彼らの中から湧き出てくるものが強烈で、無限の可能性みたいなものを感じましたね。

中でも京ちゃんのことは“この人は天才なんだな”と思って見ていました。細かい理屈や理論なんて、彼の中では関係ない。ただ本能だけでやっている。でも、実は言葉の人で、絵もすごく上手いし、表現者として多方面に長けているんですよね。で、本人に会ったら至って純粋無垢で、全然欲もなさそうじゃないですか。“こんな天才がいるんだ”って衝撃でしたね。

-今回コラボレーションした曲「絶彩」は京さんが作詞をしていますが、SUGIZOさんからオファー?

そうですね。極力歌う人が書いてくれたらいいなと思ってお願いしてみたら快くやってくれました。最初にデモとして「こんな感じだけどどう?」って2Mix段階のものを送ったら、早くもそこに歌を入れてきたんですよ。詞もすでに出来ていて、「え!? これ本チャンなの?」って言ったら「はい、作っちゃいました」って言うの。DIRでもいつもそうなんですって。だからね、天才なんですよ。イメージが湧いたら待っていられないんでしょうね。その前のめり感がすげぇな!って。彼は本当に稀有で素晴らしいクリエイターですよ。

-聖誕半世紀祭でのライブではどうでしたか?

やっぱり本能のままの人だなって。先輩であろうと後輩であろうと、ステージに立って真剣勝負の時は全然関係ない。物怖じしている感じはもちろん無く、表現者としてデカい人だなって感じましたし、同時にお互いとてもリスベクトし合っている感覚もあって。これで終わりにしてしまうのは勿体ないなという感じでした。だから、このステージ上のコラボがこうやって音源にできたことは、すごく幸いだったと思いますね。

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