INORANが語る「ブルース」の真意

サウンドは違うけど、精神性はブルース

―それにしても、50歳のバースデーを配信でやるって想像もしてなかったですよね。

夢を見る、夢を語ることは大事だって発見が自分の中であったんだけど、必ずハプニングもあるし、想像していないようなこともこれからいっぱい起こると思う。それはみんなの人生の中でも。だからこそ、結局もとにもどって矛盾しちゃうけど、会いたい奴には会いたい時に会うべきだし、見たいものは絶対に見ておいた方がいいよねって思う。震災の時もそうだったけど、こういう出来事が一回あると強く思いますね。ちょっと言葉は雑だけど、ためらわないで生きてほしい。つらいから仕事をすぐ辞めるとかそういうレベルじゃなくて。できるだけやって後悔する方が後でいっぱい得るものがあると思うし。そういうことをコロナで教わったっていうか、スーパーポジティブに考えた結果、そこに行き着きましたね。

―その結晶がこのアルバムですもんね。

そうですね。その時の証です。

―このアルバムって、コロナ禍の日々の記録や生きた証ってことでいうと、音的には違うけど、ブルースなんだなぁって今思ったんです。ブルースって、今朝天気が良くて隣の家の犬が吠えるてる……みたいな日々の記録なので。

えっ!? 実は2日ぐらい前からこのアルバムは俺の中のブルースなんだよねって言ってたんです。自分はブルースに対してそんなに詳しくはないけど、ちょっと前にニューオーリンズ音楽の歴史の本を読んで、ミシシッピ川の川辺で演奏しているおじちゃんのブルース感とかに触れたんです。そのおじちゃんのルーツがどこどこにあって、毎週日曜日公園で集まってみんなで演奏したのが始まりで……。で、結局ただただ日常を歌っていてみたいな話だったんですよ。だから、このアルバム、サウンドはブルースとは違うけど、精神性はブルースだなって思ったんですよね。

―ここから先のINORANさん的なブルースを、いろんな音像で聴かせてもらえるのも楽しみですね。では、最後に読者にメッセージを。

このアルバムがみんなの生きがいになってくれたら、すごくいいなと思います。一人でデモテープレベルから作ったものだけど、決して一人では作っていないので。僕の周りに支えてくれる人がいて、普段近すぎて感謝を忘れている人たちがいて、自分のファミリー・ツリーがあって、自分の下に地層があって僕は音楽をこうやって続けてこられて、こういうタイミングでこのアルバムができたんです。みんな音で繋がってくれれば元気が出ると思うので、ぜひ聴いてほしいです。


<INFORMATION>

『Libertine Dreams』
INORAN
キングレコード
発売中

ストリーミング・ライブ「第二幕」決定!
INORAN -VISION-
The Second Coming
10月24日(土)

http://inoran.org/

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