オフスプリングが語る、原点回帰の理由

パンクロックはこの苦境を乗り越えられるのか?

―ところで、アメリカのコロナの状況はいかがですか?

ヌードルス:徐々によくなっているよ。まあ、日本に比べたらまだまだだけどね。日本ほど上手くは対処できてない。カリフォルニアは意識が高いけど、同時にフロリダみたいにあまり気にかけていない州もある。

デクスター:だから判断が難しいんだ。

ヌードルス:わからないよな。ワクチンも普及し始めたし、俺たちはとにかく早くツアーに出られるようになることを祈ってる。

デクスター:ショーは絶対にやりたい。

ヌードルス:人が集まるのが安全になるまでは出来ないからね。

―オンラインライブを行うバンドも多くいますが、普段もみくちゃのライブハウスでライブをしているパンクバンドにとってはなかなか受け入れがたいものがあると思います。みなさんはこういった新しい形のライブの在り方に対してどう考えていますか? 

ヌードルス:オーディエンスのためにできるのがオンラインライブしかないなら、やっぱりやるべきだとは思う。ライブパフォーマンスをやりたいけど、今はそれが不可能。だから今、まだ具体的には決まってはないけど、ストリーミングで何かできないか話しているところなんだ。でも本当に、ワクチンがもっと普及してこのウイルスの惨劇が終わることをひたすら祈っている。クラブでパンク・ロック・パフォーマンスを見て育ってきた俺たちにとっては今の状態は拷問だよ。それがどんなに楽しい経験か身をもって知ってるからな(笑)。恋しくてたまらない。

デクスター:とにかく待ちきれないよ。特に日本に行くのは楽しみでしょうがない。日本では毎回素晴らしいショーを経験させてもらっているし、早く皆にシングルだけじゃなくアルバム全体を聴いてほしいね。

<THE OFFSPRING from SUMMER SONIC 2016>



―日本は先日、東日本大震災から10年を迎えました。当時、日本には無力感にさいなまれるミュージシャンが数多くいて、それは今のコロナ禍においても同じです。みなさんは過去や現在、そういった無力感に襲われることはありませんでしたか?

ヌードルス:もちろんあった。特に今は困っている人たちがたくさんいる。その人たちが一番必要なものを与えることは難しい。今はどのときよりもそれが一番難しいと思うね。

―アメリカのパンクバンドはどうやって現在の苦境を乗り越えようとしているんでしょう?

ヌードルス:本当にタフな状況。俺の息子がパンクバンドでプレイしてるんだけど、今は何も出来ないからひたすら裏庭のパーティで演奏しているよ。もちろんソーシャルディスタンスを意識しなければいけないからそれも大変だけど、彼らはベストを尽くして自分たちの出来ることをやってる。バンドだけじゃなく、ツアーのスタッフなんてもっと仕事がないわけだし、皆にとって苦しいときだよな。お互いを助け合って、出来ることにベストを尽くすしかない。そういった人たちの利益になるようなコンサートなんかが出来たらいいんだけど。

―最近、気に入っている若いパンクバンドはいますか?

ヌードルス:パンクバンドではないんだけど、息子が聴いてて俺も気に入っているのは、Nate NoFaceっていうアーティスト。彼の作品はめちゃくちゃかっこいい。あと息子はLil Darkieってアーティストにもハマってて、彼の音楽もクレイジー。あとは、Nascar Aloe。どれもパンクではないかもしれないけど、パンクの要素はたくさん詰まってると思う。

【画像を見る】史上最高のパンクアルバム40選

―最後に、初期につくった曲の中で、今改めてそのよさを感じる楽曲を挙げてください。 

ヌードルス:それは常に変化するな。俺は自分たちの作品の全てを気に入っているから。どれによさを感じるかは日によって違うんだ。今回のレコードに収録されている曲だって同じ。お気に入りのトラックは毎回変わる。

デクスター:例えば、「The Kids Aren’t Alright」みたいな曲は、毎晩演奏はしていてもレコーディングしたものを聴くことはない。でも、それがいきなりラジオから流れてくるのを聴いたりしたら、「ワーオ! この曲、今聴いてもこんなにいいんだな!」って思ったりする。そうやって不意をつかれた時にいいなって感じるんだ。

ヌードルス:でもまあ、曲はすべて自分の子供みたいな存在なんだよ。悪ふざけする子供もいれば、色々要求してくる子供もいれば、注意を引きたい子供もいる。そうするとこっちも「はいはい、わかったよ」となるし、それに気を取られて隅っこで置き去りになっている子供を見ると、それがかわいそうになる(笑)。つまりは子供全員を愛してるように、全ての曲を愛してるのさ。


<INFORMATION>


『LET THE BAD TIMES ROLL』
オフスプリング
Virgin Music Label & Artist Services
発売中
(日本盤内容:歌詞対訳・解説付き 日本盤ボーナス・トラック2曲収録)
試聴/予約: https://caroline.lnk.to/ltbtr_offspring

<日本盤収録予定トラック・リスト>
1. This Is Not Utopia
2. Let The Bad Times Roll
3. Behind Your Walls
4. Army of One
5. Breaking These Bones
6. Coming For You
7. We Never Have Sex Anymore
8. In The Hall of the Mountain King
9. The Opioid Diaries
10. Hassan Chop
11. Gone Away
12. Lullaby
13. Guerre Sous Couvertures  (日本盤ボーナス・トラック) 
14. The Opioid Diaries (LIVE) (日本盤ボーナス・トラック)

https://carolineinternational.jp/the-offspring/

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