『風街とデラシネ』松本隆の作詞家50年を名曲の詞とともに振り返る

書籍『風街とデラシネ〜作詞家・松本隆の50年』

日本の音楽の礎となったアーティストに毎月1組ずつスポットを当て、本人や当時の関係者から深く掘り下げた話を引き出していく。2021年10月の特集は「松本隆特集 第3弾 風街とデラシネ~作詞家・松本隆の50年」。第1週は70年代前半から、75年にかけて作詞家・松本隆が手がけた名曲の詞に着目し、その軌跡を辿る。

こんばんは。FM COCOLO「J-POP LEGEND FORUM」案内人・田家秀樹です。今流れているのははっぴいえんどの「風をあつめて」。1971年のアルバム『風街ろまん』の曲ですね。今月の前テーマはこの曲です。

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今月2021年10月の特集は「松本隆特集第3弾 風街とデラシネ~作詞家・松本隆の50年」。既に今年の7月に「松本隆 50周年」という特集はお送りしました。あの時はトリビュートアルバム『風街に連れてって!』をアルバムの全曲紹介を松本さんご本人を迎えてお送りしたんですが、今月は題して「風街とデラシネ~作詞家・松本隆の50年」。風街というのは言うまでもなく、この曲の入ったアルバム『風街ろまん』のタイトルからですね。デラシネというのは2017年に発売になったクミコさんのアルバム『デラシネ』のタイトル。松本さんが全曲書き下ろしたオリジナルアルバムとしては最新ということになります。デラシネというのは漂泊、漂流、根無し草。松本さんが自分の生き方を例えた言葉でもあるんですね。

10月27日に『風街とデラシネ~作詞家・松本隆の50年』という本が出るんです。書いたのは私です。それに合わせたCDも発売になります。そのCDを使って、松本さんの50年をあらためて辿ってみようというのが、今月の趣旨であります。「それ、自分の本の宣伝でしょ?」と言われてしまうと、まあそうなのですが。でもそもそも、その本はこの番組から始まっているんですね。3回目の松本さんの特集と申し上げましたが、1回目は2018年1月、ご本人をお迎えして5週間、松本さんのキャリアを辿りました。その時のインタビューがとても充実していたので、「このインタビューを使って、松本さんのことをどこかに書いていいですか?」って言ったら、松本さんが「ああいいよ、いいよ」と言ってくれて、雑誌の連載が始まりました。スタジオジブリの『熱風』という月刊の機関誌があって、2019年1月から、2021年4月まで毎月10ページ以上の連載でした。連載の記事の中に何度もFM COCOLO「J-POP LEGEND FORUM」が出てくる。単行本にする時に、角川の編集者から「毎回出てくる番組のタイトル、少し少なくしていいですか?」って言われて、途中から僕の番組みたいな形になりましたが、この番組があっての本ということで、こういう特集を組ませていただきました。

本人にあらためてインタビューしたものもありますし、関係者にいろいろな話も訊いて書いております。松本さんは常々「僕はアルバム作家」と言ってこられたんですね。「シングルだけではなくて、アルバムに僕の本質がある。シングルヒットでは見えてこない、いろいろな面がアルバムの中に歌われている」。じゃあ、どんなアルバムを書いてきたのかというのを辿ってみようということで、アルバムを軸にしながら50年を綴った本なんです。500ページあります。同時発売されるCDはその本の中で題材になったアルバムの曲を中心に1アーティスト1曲を選んだ2枚組33曲。その曲をご紹介しながら、史上最強の作詞家の全体像を感じていただこうという…… 前置きが長いでしょう(笑)。4週間でこのアルバムの全曲をご紹介したい、そんな1ヶ月です。アルバムの1曲目、作詞家・松本隆の始まりの曲。エイプリルフールの「暗い日曜日」。

Rolling Stone Japan 編集部

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