D.A.N.が語る、多層的な世界に隠されたイメージとリアリティ

D.A.N.(Photo by Taro Mizutani)



「今回は『とにかく勢いよくやろう』」

─「Fallen Angle」のノイズをレイヤーしていく中盤も、今までのD.A.N.にはなかった展開だなと思いました。

櫻木:ああ、確かに。ちょっとロックっぽいエッセンスが加わっていますよね。

D.A.N. - Fallen Angle



─しかも、何か動物の鳴き声のような音が入っていませんか?

櫻木:よく気づきましたね(笑)。あれは狼の遠吠えを混ぜているんです。輝のアイデアだったんですけど、すごくいい隠し味というか、アクセントになったなと思っていますね。

川上:どこか寒い地域の、針葉樹がたくさん聳え立っているような場所で、月夜に照らされた狼が遠吠えしているイメージをこの曲に感じたんです。ちょうど『バイオハザード』のゲーム実況をよく見ていたときに思いついたから、そこからの影響もあるのかもしれない(笑)。新作『バイオハザード7 レジデント イービル』が割とそういうトーンなんですよ、ブルーグレーを基調としていて。

─ゲームからのインスピレーションも結構あった?

川上:ありましたね。映画やゲームはまさに、日常と地続きでありながら今まで見たことのない世界をリアルに見せてくれるので。例えば『DEATH STRANDING』とか、コロナ直前に発売されたのに今の分断された世界を見事に予見しているというか。ゲームデザイナーの小島秀夫さんは、『メタルギアシリーズ』もそうですが以前から核心をついてくるゲームをたくさんつくっていて。今回もこのタイミングであんな作品を世に出すなんて天才だなと思いましたね。

─市川さんは、アルバム制作中にどんな音楽を聴いていましたか?

市川:大悟から教えてもらったオリバー・コーツというアーティストをよく聴いていました。レディオヘッドやローレル・ヘイローの作品や、ジョニー・グリーンウッドが手掛けたサントラに参加しているチェロ奏者で、エレクトロやアンビエントっぽい作品も作っている人なんですけど、以前話したように最近チェロを始めたのもあって、彼の持つメロディセンスやチェロの使い方、エフェクトのかけ方など今作でも結構影響を受けている気がしますね。    

大悟がロンドンから帰ってきたときに、レゲトンとグライムにドハマりしていて(笑)。「マジでやばかった」と言っているのを聞いて、僕もそれに感化されてミニマルテクノや渋いハウス、ダブステップ、ベースミュージックなど去年あたりから色々掘っていました。グライムのアーティストがライブをやっている動画とか見ると、カットインの仕方とかめちゃめちゃ雑で(笑)、それが逆にカッコ良かったりするんですよね。

─なるほど。

市川:これまでのD.A.N.は、いかにスムーズに楽曲が進んでいくか、流れるような展開を緻密に構築できるか?みたいなところに美学を見出していたけど、今回は「とにかく勢いよくやろう」みたいな感じで、展開や構成なんかも強引に変化させていくとか、そういうアプローチが多くなったのは明らかにこの辺の音楽の影響だし、やっていてとても楽しかったですね。

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