甲田まひるが語る、「好きなことを貫く」ためのSNSと音楽の在り方

甲田まひる(Photo by Kana Tarumi)



「カリフォルニア生まれ」の真意

—色々な音楽を聴かれる中で、憧れてるミュージシャンに甲本ヒロトさんとローリン・ヒルをあげているのを拝見しました。甲田さんの今回のEPを聴いて、キャッチーだけどあまり媚びないような曲調や歌詞に、二人の精神性にも通じるものがあるなぁと思って。

甲田:本当ですか!  嬉しい! 特にその二人からは音楽だけじゃなくて中身の部分、姿勢とか言葉とかにめちゃめちゃ影響を受けてるので、気づかないうちに反映されてるのかもしれないです。

—もちろんリスナーのことは考えていると思うんですけど、その中で歩みよりすぎないというか、甲田さんの軸がちゃんとある。歌詞もそんな印象があります。

甲田:確かにこれは、割と強い女の子を想像した歌詞にはなってますね。強いながらも呆れちゃってどうでもよくなってる、みたいな感じかもしれないですけど。自分の中にあるそういう部分はやっぱり、自然と音楽とか歌詞にも出てるのかなって思います。

—歌詞の着想は、自分を投影するよりも、モデルみたいな子がいるイメージなんですか?

甲田:今回の曲は歌詞だけ見ると、自分のつぶやきに近いかなと思います。自分の思ってることを書いただけなので。でもそもそも「カリフォルニア生まれ」っていうのが嘘なので、そういう歌詞からはじまるって意味では、自分とは別の人格がいる想像はしてます。でもだからといって他の人の曲じゃなくて、自分がカリフォルニア生まれですって嘘をついてるってテーマだから、どっちとも言えない感じがしますね。自分のことなのかもしれないし、想像してる女の子なのかもしれない。

「どこで生まれても私だけの勝手」とかは、いろんな意味を含んでるんですけど……。世界観的には、最初に私が「カリフォルニア生まれ」って嘘の情報を言うところから、じゃあ場所なんて関係ないんじゃないかなって考えにどんどん広がっていって、開き直ってる、みたいな感じですね。

—SNSの世界に対して感じることを書いたとか?

甲田:そう、その感じも歌詞に入ってて。「画面の中では空っぽの会話をしよう」とかは、今のSNSそのものについて書いてますね。カリフォルニアは私にとって憧れの場所で、単に行きたかったからって理由で歌ってたのを、そのまま1行目から反映させてて。今って写真をアップして、その場所がどこでもピンをたててカリフォルニアって言っちゃえば、みんな信じるじゃないですか。そういうことをする人もいると思うし、画面の中では自分の存在をある意味つくれる。それが面白くもあるし、カッコ悪いことなのかもわかんないなぁとか。別にその人がそれをやっていれば、それが正解になるなぁってすごく感じることで。それを伝えたくて書いてますね。

SNSでも、みんな憧れの存在とかがいるじゃないですか。誰かの真似をしちゃってだんだん自分が見えなくなるとか、そういうリアルな部分はもちろん自分にもあったので、最近の若い子たちも思ってることなのかな、と思って。それを表現できる歌詞はすごく意識して書きましたね。

—SNSって自分のことを見てる相手の顔は見えなくて、それが数字だけで表される部分もあるから、確かに自分らしさを見失いやすい場所でもありますよね。甲田さん自身はその中でもブレずに自分の軸を持っている印象がありますが、SNSとはどんなふうに付き合ってるんですか?

甲田:SNSは小6からやっていて、はじめたきっかけも全然深い意味がなくて。私のお兄ちゃんが9個上なんですけど、昔からその世代のお友達が多かったんですよ。その人たちに「今インスタが流行ってるらしい」って教えてもらって、私はその頃からファッションが大好きだったので、自分のファッションをあげられる場所ができるんだ、くらいのノリではじめたんです。それで毎日私服とか自撮りをあげてたら、偶然ファッションの世界にいくことになって。そのときからSNSに対しての躊躇とか恐れは全然なくて、海外の人とコミュニケーションをとったり、趣味の合う子とDMで話して原宿で会ったりする世界にずっと馴染みを持ってた。今もその頃の感覚と全然変わってないですね。

今ってTikTokとかSNSの影響力がすごく大きいじゃないですか。昔より、一個話題になったものにフォーカスされる力が大きすぎて、若い子のトレンドはどんどん均一化されるなって見てて思います。それが自分の好きなことならいいし、素敵なことなんですけど、みんながやってるからとか流行ってるからって理由だったらつまんないなと思うので、自分の好きなものを広げるきっかけとして、SNSも自分で選択することが大事なんだと思います。私がインスタをはじめた頃は、みんなが見る情報が一緒ってところまではいってなくて、みんな個性があって面白かったんですけど、今はその感じが薄れちゃったのかなっては思いますね。今は今で、また違った面白さもあるとは思うんですけど、人と違う自分の好きなものを自ら見つけた延⻑線上に、夢とかなりたいものって見つかると思うので、自分の好きなことを貫いていくのが大切ってことは、SNSとかやる上で自分も忘れないでいないとなって思いますね。

—自分の好きなものを発信して、それが好きな人と繋がれたらいいっていう最初の頃のモチベーションは変わらず。

甲田:そうですね。自分の好きなことを発信して共有していくのが、やっぱり楽しいです。そこは全然変わらず、あの頃のテンションでずっとやってる感じです。

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