ONE OK ROCKのTakaが語る、生きること、夢を追うこと、手を差し伸べ合うことの大切さ

「今、また新しい作品を作ろうとしている」

ーだんだん世界的にもコロナ禍は一歩一歩収束へと向かっていて、長いトンネルの先にようやく光が見え始めた、というような状況だと思うんですけど。そんな中で、映像作品、ドキュメンタリー、新曲とコロナ禍の最中に作られた作品が届けられて、ここからまたONE OK ROCKは新たなタームに突入していくんじゃないかと思うのですが、いかがですか?

そうですね。今、また新しい作品を作ろうとしているんですけど、それは今年出した新曲とは本当に全然違う作品なんですよ。「Wonder」「Broken Heart of Gold」「Renegades」っていう3曲は実はコロナが始まる少し前から作り始めた楽曲なので。この2年の色々な経験を踏まえて作っている今の作品を、どうやって伝えていけばいいかなっていうのは、僕も今考えているところではあります。



ー今回、三つの作品と楽曲を改めて、観て、聴かせていただいて、やっぱり思ったのは、ONE OK ROCKの作品は本当に時代と強く共鳴するんだな、と。仰っていただいた3曲もそうですし、そうじゃない過去の楽曲も今、ライブで鳴らされると違った意味を持って響く。それはONE OK ROCKのディスコグラフィーにはどの時代でも変わらない普遍的な感情や人生を支えてくれるような哲学が描かれてるからだと思うんですよね。

歌詞を書く上で、現在進行系で起きていることを書くことって、僕はほとんどないんですよ。「今」を切り取ろうと思って作ると、やっぱりポップ・ソングになっちゃうと思うんです。

僕は子どもの頃に覚えた疑問とか真理を、未だに大人になっても持ち続けて生きているから、それがいつも歌詞を書くときにはテーマになるんですけど。そういう昔からずっと考え続けていることを曲にすると、今同じようなことに悩んでいる人にとっての「勇気」に変わるんだと思うんです。

だから、やっぱり今がどうとかっていうよりも、怒りだったり、喜びだったり、悲しみだったり、幸せだったり、そういう漠然とした大きなテーマに本気で向きあうって作業をすることが重要で。それっていつの時代も変わらない普遍的なテーマですから。僕らの想いとは別に、勝手に今っていう時代とリンクしていくんだと思うんですよね。

ーNetflixのドキュメンタリーのインタビューで、Takaさんが「頑張ってる人たちは職業関係なく、このコロナ禍以降はみんなで手を差し伸べあって生きていく」とおっしゃっていたことが心に残っていて。「手を差し伸べ合う」ということが、求められている時代だと思うんですよね。分断ではなくて。

僕のまだまだ全然大したことのない33年間の人生の中で、確信をもって言えることが一つだけあって。大変な状況に陥ったときって、誰かのせいにしないと人って生きていけないんですよね。でも、極論を言うと、誰のせいでも無いことのほうが多い。キツい状況の中でも前に進んでいくために、いろんなことを決めていかなきゃいけない立場の人達がいるだけで。

やっぱり、そうやって誰かのせいにしながら、人間って色んなことを忘れていくものだと思うんですよ。今までも色んな災害とか大変なことが起きましたけど、例えば東日本大震災のことをあの時と同じ温度感で語れる人って、今、日本にどれくらいいるんだろうって思うんですよね。今も懸命にあの出来事を引きずりながら、一生懸命日々を生きている人もいると思います。でも、少なくとも僕はあの時と同じ気持ちじゃない。乗り越えてしまった、過ぎ去ったものとして捉えている人が多いことも事実だと思うんです。

だからこそ、僕はこの世界中が同じ時期に経験した未曾有の事態を忘れずに、よくない言い方をすれば「糧」にして、自分たちが追い求めている夢に対して、それぞれが貪欲になって生きていけばいいんじゃないかなって思うんですよね。

ドキュメンタリーの中のインタビューでも言いましたけど、やっぱり今こそが色んな人と手を取り合うことができる唯一のタイミングなんじゃないかなって思うんです。逆にこれを逃すと、当分そういう出来事は訪れないんじゃないかなって。だからこそ「手と手をつなぎあって頑張りましょうなんて、お前らダセェよ」っていう世代が出てくるまでは、僕らはそれを貫き通して頑張らなきゃいけないんじゃないかなと思うんですよね。

ー本当にそれこそが僕らが目指していくべき、未来のあり方だと思います。

アーティストが「手を差し伸べ合う」とかっていうと、偽善っぽく聞こえるってことはわかってるんですけど。でも、僕らは政治家じゃないし、どれだけ有名になって発言力が強くなっても、政治家にはなれないから。アーティストはアーティスト以外にない。でも、逆に言うと、だからこそ僕らが発信するメッセージっていうのは、政治家の人にもカバーできないようなところに届くっていう側面もあると思うので。こういう素直な気持ちをシェアすることによって、よりよい世界を作っていけるんじゃないかっていうのは、若干ですけど、思ってるんですよね。

ー次のONE OK ROCKの活動が今から本当に楽しみです。今日はありがとうございました!

こちらこそ。めっちゃヤバいアルバムを作っているので、楽しみにしててください!



【関連記事】ONE OK ROCK初の配信ライブを考察、新曲「Wonder」で伝えたかった4人の信念

<INFORMATION>


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「Wonder」
ONE OK ROCK
ONE OK ROCK
ワーナーミュージック・ジャパン
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ONE OK ROCK 公式HP:https://www.oneokrock.com/jp/



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