BTSが描いた「未来」の姿 米ローリングストーン誌カバーストーリー完全翻訳版

左からSUGA、RM、JIN、V、J-HOPE、JUNG KOOK、JIMIN 「どんな感情を抱えていても、僕はそれを表現するだけの覚悟が常にできています」(SUGA)

1967年に米国にて創刊された「Rolling Stone」誌の歴史において、 アジア人のグループで表紙を飾るのはBTSが初。 昨年2021年6月25日発売の「Rolling Stone Japan vol.15」では、世界的に話題となった本号のBTSの表紙とBACK COVERのスペシャルW表紙仕様で、撮り下ろしの写真とともに、 メンバーの素顔に迫ったインタビューを掲載した。その本国版ノーカット日本語訳の記事をWEBにて初公開する。音楽ビジネスのルールを書き換え、世界で最もビッグなグループとなった若きスーパースターたちの軌跡とは?

※本記事は、2021年6月25日発売「Rolling Stone Japan vol.15」に掲載されたものです。

世界を制したBTS

「すごくシリアスで深い質問ですね」。いま世界で最もビッグなバンドのリーダーを務める、26歳のRMはそう話す。彼は押し黙り、どう答えるべきか熟考していた。あらゆる境界線を無効化し、業界の常識を覆して世界制覇を果たした、韓国出身の才能ある7人からなるBTSが描くユートピア的にしてディストピアンでもある未来像は、誰もがつながっている21世紀という時代における新世界のイメージを地でいくように思える。

有無を言わせぬカリスマ性、ジャンルに縛られないクールかつパーソナルな音楽、「有害な男らしさ」とは無縁のカジュアルな佇まいまで、BTSのあらゆる魅力はより希望に満ちた未来を想起させる。しかし、目の前のRMが今考えているのは、世界各地でアジア系の人々に対する不当な暴力と差別が頻発する不穏な状況と、BTSという存在がどういったコントラストをなすのかということだ。

「僕たちはアウトサイダーです」。RMはそう話す。「僕たちはアメリカの音楽市場に参入し、大きな成功を収めました」。キャリアの開始から7年目にあたる2020年、BTSにとって初の完全英語詞のシングル「Dynamite」はNo.1ヒットとなり、韓国の大統領である文在寅は前人未踏の偉業を讃えるコメントを発表した。韓国は長い時間をかけて、Korean Waveと銘打った海外での自国文化の推進に投資してきた。

「いうまでもなく、今はユートピアなど存在しません」。RMはそう続ける。「光が差すところには、必ず闇が生まれる。僕たちの行動のすべて、そして僕たちの存在そのものが、外国人を排斥しようとするネガティブな風潮に対するアンチテーゼになってくれればいい。それが僕たちの考え方です。マイノリティに属する人々が、僕たちという存在からエネルギーと勇気を少しでも受け取ってくれたらと思っています。外国人を忌み嫌う風潮は確かに存在するけれど、オープンなマインドを持った人々だってたくさんいる。僕たちがアメリカで成功を収めたという事実そのものが、とても大きな意味を持っているんです」


2021年6月米ローリングストーン誌の表紙を飾ったBTS( 左から:SUGA: JACKET, PANTS, AND SHOES BY GIVENCHY. RM: JACKET, SHOES, NECKLACE, AND RING BY GIVENCHY; SHOES BY INSTANTFUNK. JIN: SHIRT BY GIVENCHY; SHOES BY PRADA. V: JACKET, TOP, AND PANTS BY GIVENCHY; SHOES BY PRADA. J-HOPE: SUIT, SHIRT, SHOES, AND RING BY GIVENCHY. JUNG KOOK: JACKET, PANTS, AND RING BY GIVENCHY; SHOES BY PRADA. JIMIN: SHIRT AND PANTS BY GIVENCHY; SHOES BY SYSTEM HOMME.)


韓国・ソウルに拠点を置く所属レーベル本部の防音室にいるRMは、同席している通訳者の保護を目的とした白の医療用マスク、黒のバケットハット、LA発のラグジュアリーブランドFear of Godのパーカーを身につけている。アメリカでのトークショーで何度も語ってきたように、彼は『フレンズ』のDVDをくり返し観ることで、その見事な英語力を身につけたという。それでもなお、会話の内容が複雑になる場合には、彼は通訳をつけることにしている。

RMは複雑なものを好む。当初は一流大学に進学する予定だった彼は、韓国のグループEpik Highとの出会いを通じてヒップホップにのめり込んだことをきっかけに、スーパースターダムへの道のりを歩み始める。BTSの所属レーベルBig Hit Entertainment (現・HYBE)の設立者であり、キャラは強烈だが理解ある叔父のような存在である大物プロデューサー、パン・シヒョクは、2010年にまずRMと契約し、彼のラッパーとしての才能とカリスマ性をベースにしてBTSを形作っていった。シヒョクはこう話す。「RMと初めて会った時、その音楽的才能と物事に対する考え方に惹かれた私は、彼を一流のアーティストに育て上げることが自分の使命だと感じました」

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Translated by Masaaki Yoshida

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