BTSが描いた「未来」の姿 米ローリングストーン誌カバーストーリー完全翻訳版

ARMYとの絆

BTSとARMYの絆は固く、メンバーたちはファンとの交流とツアーの日々を心から恋しく思っている。「ツアーに出られなかった時、誰もが喪失感と無力感を覚えていました」。JINはそう話す。「すごく悲しかった。そういう気持ちを克服するまでには、しばらく時間がかかりました」
「オーディエンスとARMYの歓声が、僕たちは大好きなんです」。JUNG KOOKはそう話す。「彼らを恋しく思い、会いたい気持ちは募るばかりです」

ファンが彼らにそうするように、BTSはARMYの熱意に応えることに情熱を傾ける。「ARMYは僕たち以上に冷静なんです」。RMはそう話す。プロ級のドキュメンタリー制作、多大な労力を伴うリサーチや翻訳作業、 BTSがブラック・ライヴズ・マター・ムーブメントの支援目的に寄付した額と同じ100万ドルをわずか25時間でかき集めるなど、ファンはメンバーたちが寄せる信頼に幾度となく応えてきた。

メンバーの何人かはBTSに加入する前に交際相手がいたことが知られているが、グループの結成後はメンバーの誰1人として恋人の存在を認めていない。彼らは忙しすぎる、というのが公の見解となっている。多くのポップ系グループがそうであるように、ファンがそういった話題に敏感に反応することを懸念していると思われがちだが、少なくともSUGAはそういった見方をはっきりと否定している。「そういう質問の意図が、僕にはよく理解できないんです」。彼はそう話す。「ARMYはとても多様な集団です。『もし〜だったら』という仮説的な状況を受け入れる人もいれば、そうでない人もいるでしょう。恋人の存在であれ、それ以外のトピックであれ、彼らは皆いち個人であり、考え方はそれぞれ異なって当然です」

2018年、BTSはシヒョクが率いる会社との契約を更新し、以降7年間はグループとしての活動に専念することに同意した。その過程で、各メンバーはHYBEの株を保有することになった。「とても意味のあることだと思っています」。RMはそう話す。「それは僕たちと会社が、お互いを真のパートナーとして認めている証拠です。Big Hitの成功は僕たちの成功であり、その逆もまた然りです」。昨年にHYBEが株式公開した際に、彼らはグループとして数百万ドルの利益を手にした。「特筆すべき事実ですね」。RMは大きな笑みを浮かべてそう言った。

BTSは今後、韓国の男性ポップアクトが避けて通れない課題に直面することになる。依然として続いている北朝鮮との摩擦を理由に、韓国の男性は28歳の誕生日を迎えるまでに21カ月間の兵役に就くことが義務付けられている。JINは昨年12月4日に28歳になったが、同月に韓国政府は彼に猶予を与えることができる法案を通過させた。同法案では、「国内および海外における韓国のイメージ推進に大きく貢献したとして、文化体育観光部長官の推薦を受けたポップカルチャーのアーティスト」は、兵役の開始を30歳まで延期できることになった。
「『君は頑張っているから、少しだけ時間の猶予を与えよう』というのが国のメッセージだと解釈しています」。JINはそう話し、兵役に対する自身の考えを述べた。「僕たちの国にとって、それはとても重要な義務です。だからこそ、自分の順番が回ってくるまでは、自分にできることを精一杯やるつもりです」

法律が再び変えられ、期限が再延長されることはないと想定しているJINは、BTSがしばらくの間彼抜きで活動を続けていくだろうと考えている。「メンバーたちは正しい判断を下すはずだと信じています。彼らがどうすべきか、僕が口を出すことはできませんから」。彼はそう話す。「(BTSが6人組として活動することになれば)悲しいですが、ネットで彼らの活躍ぶりを見ながら応援するつもりです」

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現在28歳のSUGA、27歳のJ-HOPE、そして今年27歳になるRMもまた、遠くないうちに同じ状況を迎えることになる。少なくともK-POPグループの神話(SHINHWA)は、メンバー全員が兵役を終えた後で活動を再開し、結成から23年が経った現在でも活動を続けているが、BTSが彼らと同じくらい長いキャリアを築く可能性もある。「そうですね、今と同じようにARMYに会いたいと感じているでしょうね」。Vはそう話す。「その願いは必ず叶うと信じています。兵役のことや、自分たちの今後について具体的に語り合ったことはありませんが、きっとうまくいくはず」

少なくともJIMINにとっては、BTSは永遠の存在だ。「このグループの一部としての自分、それ以外は想像できないんです」。彼はそう話す。「自分1人で何かをするということも。歳をとったら髭を伸ばすかもしれませんが」。彼は筆者が蓄えた髭をジェスチャーで示し、笑顔を浮かべてこう続けた。「歳を重ねて踊れなくなった時は、メンバーと並んでステージ上に座り、ファンに向かって歌ったり語りかけたりしたい。そういうのも良いと思うんです。少しでも長く活動を続けていきたいと思っています」

※Rolling Stone Japan vol.15 掲載
From Rolling Stone US.

Translated by Masaaki Yoshida

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