Open Reel Ensembleが語る、妄想ジャンル「マグネティックパンク」とは?

 
ずっと真夜中でいいのに。への共感

―いま、自分達のことを「マニアック」とおっしゃいましたが、その一方で最近は、ずっと真夜中でいいのに。のライブに参加されたりしていて、単純にすごいことだなと感じます。最初はACAねさんの方からアプローチがあったんですか?

和田:そうですね。僕らの映像を見たACAねさんから連絡があって、ライブを観に来られました。そこからオファーをいただいて、ずとまよの楽器隊に、オープンリール奏者として参加することになって。「オープンリール楽器のサポートメンバー」って需要あるの⁉︎って、そのオファー自体が結構衝撃でしたね(笑)。

―サポートという立場で演奏してみていかがでしたか?

悠:どれだけヘンテコな要素を突っ込めるかっていう挑戦で、めちゃくちゃおもしろかったですね。ライブだけじゃなく、レコーディングでは「機械油」という曲にアレンジで参加させて貰ったんですけど、僕らが納品したものをほとんど丸々使っていただいてます。

和田:特に細かな指示はなくて、「好きなように〜」と言われました。じゃあ僕らは曲の中の「機械油要素」を担当しようと。で、レコーディングして「油マシマシです」って音源を返したら……。

悠:リアクションが「油どころか醤油でした! ありがとうございます」って昇格してた(笑)。

匡:気が合うんですよね(笑)。



―みなさんから見て、ずとまよの楽曲はいかがですか?

和田:ぐさりますよね。本来言葉にはならないような複雑な心の中の波を泳いでいくような歌詞世界も。でも曲の構成を覚えるのが本当に大変(笑)。

悠:単純なAメロ、Bメロ、サビとかじゃないんですよね。

和田:同じ曲の中で繰り返さない新たなメロディがどんどん出てくる。ポップミュージックの最新形態と言っても過言ではないと思います。でも、それこそ自分達も結構トリッキーなことをやってきてるので、1曲の中で次から次に色んなことをやることにはフィット感がありますね。

匡:あと、僕らと同じでずっと真夜中でいいのに。も、ものすごい濃い世界観を持ってるんですよ。

和田:ACAねさんも物語を妄想するんですよ。それがどわーと書かれたテキストが添付ファイルで送られてきたりするんですけど、そこに書かれてることが、マグネシアと同じバースなんじゃないかっていうくらい距離感が近かったりする。

例えば、そこはずっと夜みたいな国で、一回文明が発展して滅んでいたりするんですよ。その世界の廃れたコンビニに輩が集まって音楽をやろうとする。そうなった時に、残っている機械を集めてバーベキューしたり、演奏したりするんですよ。

匡:二つの世界観が、奇跡的にまったくぶつからずに融合したんです。

悠:遊び心に躊躇がない感じがするんですよ、ACAねさんって。だから僕らも同じ遊び心で参加できるし、全然一緒にいられる。

和田:最初に一緒にやったのが「彷徨い酔い温度」という曲なんですけど、マグネシアの音色と化学反応を起こして、これは100年後に奏でられている音頭かもしれないと思えて、自分達と近いものがあるなと。

匡:マグネシア移民として受け入れられたという(笑)。

―奇跡的な化学反応ですね。

悠:とはいえ音楽的な表現が全然違うので、ACAねさんは最初、どうやって僕らにアプローチしようか悩んだらしいんですよ。一緒にやりましょうと言ったって何も響かないかもしれない……と。だからどうやって好きって伝えようって悩んでくれたみたいです。

匡:単純に珍しい楽器だからやってみたいとかじゃなくて、本当に好きなんだって伝えてくれて。



―今後、他のところからもオファーが増えるかもしれませんね。

和田;基本的にはウェルカムです! オープンリールを楽器と捉えると、実は音楽性はすごく幅広い。僕らは自分達の妄想音楽を探求してますけど、また別の音楽家がこの楽器を認識した時にどんな発想をするのかなと思いますね。

匡:これをどう音楽に関連させるかっていうのは人によって全然違うからね。ずとまよとはまた違った参加の仕方をしてほしいっていう人がいたら、すごく嬉しいですね。

和田:「オープンリールの音が足りんな」と思った時は、ぜひ我々に(笑)。

―現状、唯一無二のオープンリール奏者ですからね。

和田:ターンテーブルと違ってあまり踏み込む人がいなかった未開の地ですね(笑)。でもオープンリールを入手して、デジタルブックを読んでいただければ、ある程度再現できますよ(笑)。

匡:僕らがやってるのは、音楽っぽい音と完全な効果音のちょうど中間みたいな音を出すこと。例えば、ギターを弾いた音をちょっとつまんで歪ませるようなことが、聴いた人が「おっ」となる部分なのかなと。そういった香りをどう出していくかですよね。

和田:それこそ、1970年代には、ビートルズがスタジオ機材としてオープンリールを使ってサイケデリックな音をつくったわけですし、キング・クリムゾンもピンク・フロイドもクラフトワークもレコーディングではオープンリールによる音響効果を駆使しています。ただ、基本的にはステージには出てこなかったから、裏方機材みたいな側面もあったかもしれない。僕らはそれをステージに上げて、楽器としてかき回したいんですよね。

―こんなディープな話はなかなかない!というくらいおもしろいお話を聞かせていただきました。

和田:マニアックな話をしてしまいました(笑)。でも、ミュージシャンにとっての機材がオープンリールに置き換わってるってだけだと思います。ミュージシャンはみんな、シンセとかギターのエフェクターの話を嬉々として話すじゃないですか。それが僕らにとってはオープンリールなんですよ!




Open Reel Ensemble
「Magnetik Phunk」
特典映像、イラスト、文章、奏法図解などを収録した電子書籍(全50ページ)も販売
試聴・購入:https://openreelensemble.bandcamp.com/

Ginza Sony Park公式サイト:https://www.sonypark.com/
Park Live 過去の全出演アーティスト一覧:https://www.sonypark.com/parklive/

 
 
 
 

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