miletが一人ぼっちの人生を歌う理由「いろんな種類の孤独がある」

 
「一人ぼっちの人生」を歌う理由

miletさんの楽曲コメントに「幸せになりたいだけなのに、なんでこんなに孤独な気持ちになるんだろう」とありましたが、これまでのインタビューでも孤独について度々語っていますよね。なんでそんなに孤独な気持ちになるんですか?

milet:どれだけ上手くいっても今までいた場所を恋しく思うし、過去の自分に戻りたいと思う瞬間もあるし、失敗したら「あんなことやらなきゃよかった」と後悔したり。ないものねだりというか……満たされることってないんでしょうね(笑)。

―どう考えてもハッピーなのに不安を覚えてしまう、みたいな。

milet:そうそう、ふと一人になった瞬間とか。ライブでみんなと楽しんだあと、ホテルに戻ると「孤独だな」と思ったりして。でも、それは愛を知ったから、楽しい時間を過ごしたから感じるもので、嫌なものではないですよね。いろんな種類の孤独があるなって。

―「Walkin’ In My Lane」にも、本当の孤独を知らないと思いつかなさそうな描写がありますね。“押し潰す恋しさを枕の裏に 眠れず”とか。

milet:そこは片想いしてるとき、アオハルな感じで「もー!」って枕に顔を埋める感じというか(笑)。もしくは付き合ってからも、うまく言葉で伝えられなくて……そういうときの虚しさとか恋しさを夜の枕で押し潰したり。キュンとなる恋愛模様も描かれるドラマなので、私も自分の人生をいろいろ振り返ってみました。

―“一人ぼっち同士 逆らってこうぜ”というくだりは、実にmiletさん的なパンチラインだと思いました。

milet:ははは(笑)。私の曲はどれも「人間って一人ぼっちだな」という気持ちが入っていますけど、特にこの曲では大きくて。誰か愛する人ができたとして、その人と歩む人生とは別に、私には私の人生、相手には相手の人生というふうに、それぞれのレーンがあると思うんです。

―それで「Walkin’ In My Lane」というタイトルなんですね。

milet:そうなんです。だからこそ、私の人生は私らしく生きたいし、一人ぼっちの人間がくっついて二人になることを意識すれば、もっと相手のことを支えようと考えられる気がして。

―わかりあえないからこそ理解しようとする、みたいな。

milet:ずっと近くにいるからこそ、相手が一人の人間とは思えなくなるときってありますよね。例えば母親のことも「お母さん」と認識していて、「一人の女性」として意識することはそんなになかったりする。でも、「この人にはこの人の人生があるんだな」って考える時間も大切だと思うんですよね。

―この曲は弾けたビートも印象的です。

milet:明るいけどエモい曲にしようというイメージが念頭にあって、サウンドも構成もすごくシンプルですよね。ただ、トラック数はミニマムなんだけど、2番のAメロでサンプルの表情をアレンジしたり、いろいろバリエーションも作れたと思います。

―2曲目の「Love When I Cry」についてはどうでしょう?

milet:これはデビュー前に作った曲で……。

―これまでの作品でもデビュー前の曲を収録してきましたよね。まだストックがあるとは。

milet:そうなんです。(プロデューサーの)TomoLow君と出会った頃、たしか3つ目か4つ目に作ったはず。「Walkin’ In My Lane」と3曲目の「My Dreams Are Made of Hell」でギャップがあるので、バランスを保つために「チルい曲がほしいな」と探していたときに存在を思い出しました。アレンジと歌詞を今回のために作り直して、そこからもっとよくなりましたね。

―「My Dreams Are Made of Hell」はファンお待ちかねの曲じゃないですか。こういうダークな曲調は久々ですよね。

milet:暗い曲は大好きでずっと歌いたかったけど、(最近の作品では)なかなか入れる隙がなくて。「なんか明るい曲ばっかりになっちゃった」と思ってたんです(笑)。あとは、クリスマスソングをずっと作りたかったんですよね。もともとライブの開場BGMでも、季節をとわずクリスマスソングを選ぶくらい好きで。今の時期も季節外れだけど作ろうかなって。

―タイトルに「Hell」と入ってますが。

milet:「私の夢は地獄でできている」……うわー、怖い(笑)。クリスマスといえばハッピーなイメージがあるけど、私は悪夢を見てうなされたことがあって。サンタさんではなくモンスターがやってきて、ずっとベッドの下に潜んでるという(笑)。よくないですか?

―ご健在で何よりです(笑)。途中でガラリと曲調が変わるのもいいですよね。

milet:この曲では「1番、2番」やサビを作らず、違う構成のパートをつなげることで、全体を通して一つのストーリーみたいにしたくて。ビートが入ってくる終盤の展開は、きっとみんな何度も聴きたくなるだろうから、あえて繰り返さないようにしようと。「Fire Arrow」「Dome」など、ダークな曲を一緒に作ってきたドック(プロデューサーのRyosuke“Dr.R”Sakai)からも「そろそろやろうよ!」と言われていたので、久々に作れてよかったし、これまでよりパワーアップしていると思います。

Tag:
 
 
 
 

RECOMMENDEDおすすめの記事


 

RELATED関連する記事

 

MOST VIEWED人気の記事

 

Current ISSUE