BTSのJ-HOPE、初ソロアルバムの独創性とヒップホップへの敬意を紐解く

R&Bとヒップホップに対する敬意

本作は、こうした問いかけによって緊張感を保っている。それと同時に、90年代から2000年代にかけてアメリカのラジオを席巻したR&Bとヒップホップに対するJ-HOPEの敬意が込められていることも明らかだ。

内省に満ちた「What if...」がオール・ダーティー・バスタード「Shimmy Shimmy Ya」の印象的なピアノの旋律とともに展開する一方、ロボットファンク風のうねるようなベースラインが特徴的な「STOP」では、“Stop”と繰り返されるコーラスが憂いの感情を盛り上げる。ヒップホップ・ソウル風の「Safety Zone」は、慰めの探求がテーマだ。曲の終盤でJ-HOPEは、R&Bジャムにふさわしい、美しい歌声を披露している。

10曲を収録した約22分の『Jack in The Box』は、短いながらもパワフルなアルバムだ。本作には、J-HOPEの音楽的な好奇心だけでなく、メディアに注目されながらも完全な姿をとらえることができないJ-HOPEという人物の内側を映し出す、没入的な世界を創作するためのアーティストとしての忍耐強さが注ぎ込まれている。J-HOPEとBTSのメンバーがこれからどのような道をたどるかはわからないが、そこには予期せぬ発見に満ちていることを『Jack in The Box』は教えてくれる。

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From Rolling Stone US.


Translated by Shoko Natori

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