ハードコアを皆の手に YouTubeチャンネル「hate5six」の仕掛け人

シーンのネガティブな面についても言及

より魅力的なコンテンツを提供しようと、シンは試行錯誤を続けている。機械学習の博士号を取得しているだけあって、彼は銅線を張り巡らせたカメラ搭載型ドローンカメラや、パンデミックの最中に行われた一連のスタジオライブの撮影で使用された3Dプリンター製のコントローラーなど、様々な機材を自身で発明している。「誰か雇えば簡単に解決することも多いよ」と彼は話す。「でも俺は、技術上の問題を解消できる機材を自分で作るっていうチャレンジが好きなんだ」



同チャンネルの人気が高まるにつれて、かつては白人男性ばかりだったハードコアのコミュニティに多様性が生まれるのを目の当たりにしてきたとシンは話す。最近公開されたいくつかの映像でも、ステージ上と客席の両方で女性や有色人種の人々が数多く見受けられる。だが彼自身がかつて経験し、今なお社会のあちこちで起きている人種差別は、ヘヴィミュージックのアングラシーンでも確かに存在している。「テロリスト呼ばわりされることもあるよ」とシンは話す。「高校の時にも同じことを言われてたけどね。特定の人種に対する差別は、今に始まったことじゃない。最近あるポッドキャストにゲスト出演したんだけど、俺が番組名を書いた紙を手に持った写真をアップすると、どっかの誰かがその紙をISISの旗に置き換えてた。頭部にはターバン、胸には防弾ベストを着せてね。うんざりしたよ、まだこんなくだらないことをする奴がいるのかって。テロリストと呼ばれて、俺がいちいち腹を立てると思ってるのなら大間違いだ」

映像を通じてシーンのポジティブな面を伝える一方で、彼はこういった出来事について言及することも大切だと考えている。そうすることで、彼はこのコミュニティに改善されるべき部分がまだ多く残されているという現実を突きつける。

「そういう経験について、俺は自分から発信してる。俺と同じような思いをしている人々がたくさんいるってことを、世間に知ってもらいたいからだ。知名度のあるチャンネルを運営しているってだけで、俺がどんな中傷にも慣れてるように思われがちだけど、そんなことはない。加工された画像を俺が自らシェアしている理由の1つは問題提起で、もう1つはダメージを無効化するためだ。あの画像を作ったやつは俺を傷つけようとしているけど、俺がそれを自ら投稿することで何のダメージも受けていないことを示そうとしているんだ。ある意味、ああいうのは俺の糧になってるんだよ」

Translated by Masaaki Yoshida

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