ハードコアを皆の手に YouTubeチャンネル「hate5six」の仕掛け人

「自分が意義のあることをやってると思える」

障害をはねのけようとするシンのこういった姿勢は、彼が培ってきたものに対する揺るぎない自信と、平等であるべきという同チャンネルの根底にある信条を物語っている。大きな野心を持ってはいるが(彼はレイジ・アゲインスト・ザ・マシーンのマネジメント宛に、バンドに対する個人的な思い入れと、今夏に予定されている再結成ツアーをドキュメントさせてほしいという旨を記した手紙を送ったという)、自分の本当の居場所がアンダーグラウンドであるという考えは揺らいでいない。「最近じゃテイストメーカーなんて言われるようになった」と彼は話す。「2000人の前でプレイするターンスタイルを撮ってるわけだから、俺はテイストメーカーとは言えない。でもその翌日に、俺はたった10人の前で初ライブをするバンドを撮影していたりするんだよ」

最近ルイビルで行われたフェス会場で会ったある若者は、それが生まれて初めて足を運んだハードコアのショーで、参加を決めた理由がhate5sixだったという。「YouTubeでビデオゲームのレビュー動画を観てた時に、アルゴリズムが俺の動画の1つをおすすめに選んでたらしくて。彼はハードコアが何なのかも知らなかったけど、その動画を観ることにした」と彼は話す。「衝撃的だったらしいよ。それでこのフェスに参加するために、ルイビルまで足を運んだんだってさ」

hate5sixの人気と影響力の拡大を誇りに思う一方で、自室でレイジのブートレグ映像をひたすら漁っていた頃の自分と重なるオーディエンスとのこういったやり取りに、彼は特別な喜びを感じているのだろう。「そういうフィードバックをもらうたびに、自分が意義のあることをやってると思えるんだよ」

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from Rolling Stone US

Translated by Masaaki Yoshida

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