「ツタロックDIG」出演バンド・This is LASTが語る、上手くいかない恋愛を経た現在地

ーそういう状況に対して、お2人は歌詞に落とし込んだ方がいいんじゃないかって言ったわけですよね。菊池さんの失恋を昇華させる気持ちもあったんですか?

鹿又:うーん、昇華しきれてないもんな。でもそういう体験をしたからこそ、ストーリー性というかリアリティがすごいなあと思って。

陽報:僕にしか書けない歌詞だなとはすごく思っていますね。僕は作曲者でも音楽家でもあると同時に、文字を書く人でもあって。歌詞を見ただけで僕が書いたって分かる人になりたくて。そういう意識を持ってやってはいますね。

ー竜静さんは、お兄さんの恋愛を自分の内面を出した歌詞を演奏するのって、どんな気持ちなんでしょう。

竜静:あきが浮気されて完全に意気消沈した日が大晦日で、僕の誕生日だったんです。「もう終わってるわ、終わった」ってずっと言ってて。泣いていたか、泣きそうだったかはあまり覚えてないんですけど、抱きしめたんですよ。「大丈夫だよ」って。ライブしているときとか、曲を作っているとき、そういうシーンが浮かびますね。なので、僕が感じていたものとか見たものを、如実に歌詞に表現していてほしいとは思います。そこをいかにあきが表現して、純度100%の状態で曲にするのかで僕自身は戦っているので。どう感じているかって言われたら、僕が歌詞を見て陽のそれを想像できる、思い出せるぐらいに書いていてほしいなって、いつも願っている感じです。



ーそういう体験を曲にして、お客さんの前で演奏することで、どういう作用を起こしたいと思いますか?

陽報:もともと僕は、自分のためにしか歌っていなかったんですけど、最近お客さんのためにとか、誰かのために歌いたいな、音楽を作りたいなと思うようになって。でも、土台はやっぱり変わってはないとも思っていて。自分が自分のために歌って、回り回って誰かのためになるならいいなって。同じような気持ちの人や、上手くいかない恋愛をしている人がいても、後悔しないようにやってほしいなって。僕自身、別れるタイミングはいくつもあったんですよ。でも、自分が後悔しない道だけを選んできたので。聴いてくれた人がそういうふうに思ってくれたらいいなと思いながらライブはしていますね。

ー反響を、どういうふうに感じてらっしゃいますか?

陽報:僕が1番最初に思ったのは、同じような思いをしている人がこんなにいるんだなってことで。This is LASTとして、菊池陽報という1人の人間として、僕がそういう気持ちを汲んで、歌うのが使命だと思っています。僕も結構なことがあったけど、今めっちゃ笑って歌っているよっていうのが1番言いたいことで。すごく楽しいし、幸せだって思えることが実はこんなにあるんだよっていうのは、ライブハウスだからこそ感じられるというか。人生の痛みだったり苦しみだったりたくさん感じてきた僕がライブハウスで笑って歌える。そして、それを観て、涙してくれる人も喜んでくれる人も楽しんでくれる人もいて、いろいろな感情が入り混じって、最終的に最高! って空間が行き着く先というか。お客さんが最終的に前を向いて帰れれたらいい。それが1番大きいところではあるかもしれないです。

Rolling Stone Japan 編集部

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