-では、各メンバーと今回初めてアルバムを制作してみて、それぞれどんなことを感じたのか伺いたいのですが、Satoさんにはどんな印象を?ASH:Satoくんはやっぱりパンクやビートロックからの影響が音に顕著に出ているし、その一方で歌や他の楽器に寄り添うベースラインを弾いてくれる。すごく華のあるベーシストなんですけど、そういうSatoくんのベーシックな魅力を僕らがどうもっと引き出すか、どうもっと不良化させるか、みたいなところは考えましたね。だから「もっと遠慮せず来てくれていいよ」と伝えるときもあれば、「エロいベース弾くなあ、おい!」と盛り上げるときもあったり。例えば、上裸に皮ジャンで、首に南京錠つけて、頭ツンツンでゴリゴリのメイクみたいな、フォーマット化されたパンクスみたいな人だったら「そんなのパンクスじゃねぇよ」と言って終わりなんですけど、Satoくんのようなベーシストはすごく珍しくて、音の表面とか側(がわ)でなく内秘されたパンクのマインドが魅力的なので、そこが表出したときに面白いんですよね。
-具体的には、どんなところにそれを感じたりするんですか?ASH:うだるような夏の暑さの中で「なんでそんな湯気出てるホットコーヒー飲んでるの?」みたいな。俺、それはもうハードコアだと思っていて。
一同:(笑)
ASH:何ならグラインドコアぐらいの行為だと思っているんです(笑)。Mというか、逆にもうドSなんですよね。かと思えば、それは内臓を冷やさない為だったりする、そういう美意識も持っていたりするし、自分を高めていくことに対してストイックなんですよ。僕はロックやパンクの面白いところって、そういう鋭利なストイックな部分と「なんで?」という部分が同居しているところだと思っていて。Satoくんはまさにそういう人で、真夏の昼間に「内臓を冷やさないように」とホットコーヒー飲んでいるくせに、夜になったら日本酒ガバガバ呑んで、気付いたら服着てなかったりするんですよ!
Sato-ハチャメチャじゃないですか(笑)。ASH:先日、たまたま5人で同部屋に宿泊する機会があったんですけど、服を着ていたときを数えるほうが早いんじゃないかと思うぐらい、生まれたままの姿のSatoくんがいつもそこに居たんですよ。その夜に「コイツを誘ってよかった」と思いました。
Sato:生まれたままを受け入れてくれたので、僕もみんなと出逢えてよかったと思いました。
一同:(爆笑)
ASH:やっていることがいちばんパンクなんですよ。そこを皆さんにぜひ知ってもらいたい。
-自分ではどう思っているんですか?Sato:いや、何がやって良くて、何がやっちゃいけないことか分からないんですよね。
-めちゃくちゃ危険じゃないですか(笑)!ASH:コイツ、マジで危ないんですよ!
Sato:どの場面で何がOKなのか分からない。今話してくれたことは、どれも面白がってもらえたエピソードですけど、「あ、今、違ったんだ! みんな、ごめん!」みたいなことも結構あります(笑)。なので、理性的なみんなにいつも助けられているんですよね。