ASH DA HEROがメジャーデビューアルバムで提示した「ロックとは?」への回答

-続いて、WANIさんにはどんな印象を?

ASH:WANIさんのドラムは、僕が家まで押しかけて「必要だから!」と口説き落としたぐらいなので、アルバム『Genesis』の制作においても「誘って間違いなかったな」ともちろん思いましたし、ライブでのステージングやパフォーマンスの部分でも、WANIさんがトラヴィス・バーカー(ブリンク 182)の影響を受けていることもあって凄いんですよ。これはボーカリストとしての個人的な意見なんですけど、俺は本当にバンドってタテのラインが大事だと思っていて。ボーカルがいて、その後ろのドラマーがどういうアティチュードでいるか。これによって全然見え方が違うと思っているんですよね。単純にテクニックがあって、老獪さがあって、すごくシブくて上手なザ・ドラマーみたいな人が僕の後ろで叩いてくれている場合と、WANIさんのように「いってまえぇ!」って感じでパッションを炸裂させながら、派手に叩いてくれている場合では見え方が大きく変わるんですよね。だって、この前のライブなんて気付いたら俺の横で踊っていましたからね(笑)。

-自由度が高すぎる(笑)。

ASH:でも、ドラマーをその2タイプに大きく分けたとき、オーディエンスが観ていて面白いのはどちらかと言ったら、圧倒的に後者なんですよ。実際「え、前出てきた!」って驚いてましたもん(笑)。ロックバンドってある種、浮世離れしたサーカスみたいな側面が大事だと思っていて、WANIさんのドラムは聴いていても楽しいし、観ていても楽しいし、それを体現してくれるんですよね。バンドに彩りと華を与えてくれる。あとは、誰よりもムードメイカーなんで、いつもひらすら元気です。メンバーとバン車で移動するときも、WANIさんはハンドル握りながら、フェスやライブでボーカリストがオーディエンスを盛り上げるときぐらいの声量とテンションで「よっしゃ、いくぞぉー! いこうぜ、いこうぜ、ポンポン!」みたいな。

WANI:ただ、ASHは助手席で一緒に盛り上がってくれるんですけど、後部座席のメンバーは「うっせぇな……」みたいな(笑)。

-思いっきりこのバンドを楽しんでいるんですね。

WANI:心の底から楽しんでます。今までやろうとしてもやれなかったことをこのバンドでは自由にやれていますね。僕はドラムを始めてすぐに「上手、上手。テクニック凄いね」みたいなドラマーになることは諦めていて、それこそ観ていて面白かったりとか、ずっと後ろに居るはずなのに気になったりとか、バンドは全員が主役だと思っているところもあって、目を引くドラマーを目指してきたんですよね。このバンドでは、その姿勢を求めてもらえているので、だから自分らしく活動できているし、楽しいんです。

ASH:そんなWANIさんのドラムありきの曲をNaruくんが作ったりすることもあって。

WANI:Naruくんは、自分が現段階でギリギリ叩けるかどうかのドラムを打ち込んでくるんですけど、それが俺のドM感を刺激するんですよ(笑)。デモ聴きながら「はいはい、来ました、来ました。おー、凄いことやってるね!」みたいな感じで、個人練習に入って「ムズい!」と喚きながら何十回と繰り返し叩いて出来るようになって。それで「WANIさん、凄いっすねえ」とNaruくんが言ってくれるんじゃないかと期待しながらバンドリハに入るんですけど、なかなか褒めてくれない(笑)。

Rolling Stone Japan 編集部

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