吉田拓郎、70年代に自ら幕を引き新しいことに挑み続けた40代の軌跡





1991年のアルバム『detente』から「たえなる時に」と、92年のアルバム『吉田町の唄』から「吉田町の唄」、2曲続けてお聞きいただきました。45歳と46歳の拓郎さんです。「たえなる時に」は「愛でないものは あるはずがない」。そして「吉田町の唄」は「のびやかに しなやかに 育てよ子供」と歌っているわけです。冒頭の「人生は一本の道だった筈 僕はその道にも迷ったらしい」とか「家を捨てたんじゃなかったのか」という自省の歌とはちょっと違ってきた。これだけ変わり続けてきた人はいないんではないかという見方もできると思うんですね。まず、格好。ヘアスタイル。それぞれの時代で全く違いますからね。ロングヘアからカーリーヘアになり、ショートカットで空を見てるのが『detente』のジャケットでした。曲調、そして曲層も変わってきてますね。でも変わっていないのは、ずっと人生を歌い続けてきてることです。そしてその中で、人を好きになることの意味みたいなこともずっと追い続けてきて、それが表現として、その時代その時代なりのものが歌になっている。そういう50数年だったんだと思います。

「吉田町の唄」は、自分の人生をたどってみせたわけですからね。時代や社会ではなく自分のことを歌うようになった。やっぱり変わらないのが、やったことのないことをやるという姿勢でもあったと思います。いろんなことに飽きて、次のことを始めてきた。40代最後のアルバムが、バハマ録音だったんですね。その中から2曲をお聴きただきます。

Rolling Stone Japan 編集部

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