LiSAが語る、音楽が鳴る場所で、共に「最高潮」へ向かうために

アルバムを完成させたことで見えた「指標」

ーなるほど。ちょうど5周年のタイミングにLiSAさんとお話したとき、「Rising Hope」のような曲を5年後、10年後にどう歌っていくかという話題がありました。あれから5年以上経ちましたが、例えば「Rising Hope」を今歌うときに湧き上がってくる感情に以前とは違いはあるんでしょうか?

LiSA:「Rising Hope」に関しては特にというか、歌詞を書いているときに願いを込めているような感覚があったんですけど、今は「Rising Hope」を歌うときは確かめるような感覚というか。それはみんなとの約束を確かめるとか、自分を確かめるとか、そういうものなのかな。



ー確かめた結果、何が見つけられるんでしょう?

LiSA:自分自身がLiSAという人の確認をすることによって、強みになっていることに気づけるといいますか。約束とか願いを込めて作ったものが、いつのまにか武器になっているといいますか……伝わりますか?

ー言わんとしていることはわかります。願いを込めて作ったものが歌い続けていくことで、いろんな人たちの気持ちも重なってどんどん大きなものとして成長していく。そんな大切な曲を歌うたびに「LiSAってこういう過程を経て、ここまでたどり着いたんだ」と、忘れちゃいけないことを教えてくれるような。

LiSA:そうですね、うん。だからこそ、「Rising Hope」を歌うといつだってその最高潮に、みんなと一緒に行ける感覚がありますし。ただ、「Rising Hope」を歌う意味は少し変わってきている気はします。最初はセットリストの中で、今における「往け」みたいな感覚で歌っていたんですけど、それがいつの間にか「それをやると確約された私たちの最高潮に行ける」という強いものへと進化していた。だからこそ、この間の『LiVE is Smile Always~Eve&Birth~』では「Rising Hope」をやらないで、そのスペシャルな球を使わなくても行ける最高潮を見てみたかったんです。



ーある意味では、4番バッターがいない状態で試合をするようなものですよね。


LiSA:エースがいない状態で野球をやるみたいな(笑)。でも、それだからこそほかの仲間たちが実力を発揮して、試合をつないでいくことで別の意味をもたらす。そんなライブをやりたくて、前回の『LiVE is Smile Always~Eve&Birth~』では「Rising Hope」を一度隠して挑んだんです。

ーでも、ないから全然不完全燃焼ということはなく、逆に「エース、こんなにもいるじゃない」という事実にも改めて気づかされた。ここ数年でLiSAが投げる球種がこんなにも増えているわけだから、むしろ安心したんですよ。

LiSA:そういうエースがこの10年でたくさん増えた感覚はとてもあります。最初は「oath sign」を絶対に外せなかったし、「crossing field」を外すこともできなかった。でも、そういうスペシャルな楽曲たちをちゃんと大切にしたうえで、いざというときには頼るという役割に変わってきたんでしょうね。





ーそれが10年の積み重ねであり、ちゃんといい方向にシフトできている証拠だと思いますよ。だからこそ、このアルバムではここまでやりきれたわけでしょうし。いろいろなことにチャレンジしているのに、不思議と統一感があるのもその表れなんだと思います。

LiSA:そう感じてもらえてよかったです。無理して奇抜な服を着るというよりは、ちゃんとLiSAとしての軸を持ったうえで、この振り幅の広い楽曲たちにLiSAという串を刺してあげられたんじゃないかと思います。

ーこれだけ自信に満ちた、“次の10年”へ向けた第一歩をこのアルバムに刻むことができたからこそ、この先ライブでどう表現していくのかも楽しみです。

LiSA:やっぱり楽曲が完成する瞬間って、みんながアクションしてくれたり楽曲の中で声を聴かせてくれたりすることで、初めて実感できると思うんです。でも、この2年間はその完成形を見れていない楽曲たちがたくさんある。このアルバムの曲たちもどんなふうになっていくのか、その予想外の完成形を早く見てみたいですね。

ーここから新しい旅が始まるわけですが、この先LiSAさんが目指すのはどういったものなんでしょう?

LiSA:まずは、目の前の15周年に向けてしっかり走り続けることをひとつの目標にしたいなと思っています。ここ数年で良くも悪くも新しい世界が始まったような気がしていますが、最初の10年で叶えたかったこと、叶えられなかったことがたくさんあって。それを今すぐに続きとして叶えられるかというと、新しい世界になってしまった以上、また作り直しだなと思っているんです。なので次の5年をかけて、最初の10年のうちにやりたかったことをもう一度作り直していく。で、15周年のときに「さあ、あのときの続きをしようか」って言えるぐらい、まずはこの5年間を大切に駆け抜けたいなと思います。

ー積み重ねてきたものがある安心感ももちろんあるとは思いますが、変わってしまったからこその不安もあるわけじゃないですか。だからこそ、先の想像がまだつかない部分も多い。でも、このアルバムを聴いたおかげで、目の前のもやが少し晴れてきたような気がしていて。きっとリスナー側もこのアルバムを通して、次にどういうアクションをすればいいのかがわかってくるんじゃないかという気がしています。

LiSA:そう言っていただけるとうれしいです。この2年はみんなのアクションを受け取れないからこそ、提示することや聴いてもらうこと、受け取ってもらうことを私から一方的に続けているような感覚がありましたが、このアルバムを完成させたことでこの先の戦い方が定まってきた、進み方がわかってきた気がしています。

【関連記事】LiSAが語る2010年代「10年貫いてきたからこそ、仲間に入れてもらえた」


『LANDER』
LiSA
SACRA MUSIC
発売中

1. 往け
2. 一斉ノ喝采
3. dis/connect
4. シャンプーソング
5. 明け星
6. 白銀
7. 炎
8. 逃飛行
9. HADASHi NO STEP
10. シフクノトキ
11. 土曜日のわたしたちは
12. 悪女のオキテ
13. dawn
14. NEW ME

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