チケット販売問題に怒るファンへの想い―チケット販売について質問してもよろしいですか?BS:もちろん。
―ダイナミック・プライシング(需要に応じて価格を変動させること)の採用や、5000ドルもの値が付いたチケットもあるなど、チケット販売問題は、ファンのコミュニティーに混乱をもたらしました。事前にプライス・ポイントやダイナミック・プライシングについての情報は来ていましたか? 振り返ってみて、反省すべき点などはあるでしょうか。BS:俺のスタンスはシンプルだ。「他のアーティストの状況を確認してくれ。市場よりも少し低い価格設定にしよう」というのが、俺から担当者への指示だ。それでスタッフが価格を決める。過去49年かそれ以上やっているが、俺たちはほとんどの場合、市場価値を下回る金額設定をしてきた。俺はそれで満足だった。ファンにとっても良かったはずだ。
今回は、「俺たちも73歳になった。仲間も同じだ。俺も他のアーティストがやっているのと同じことをしたい」と言った結果がこうだ。スタッフが対応した結果さ(笑)。
チケット販売に関しては、非常に複雑化してきている。購入するファンのみならず、アーティスト本人にとってもそうだ。重要なのは、ほとんどのチケットが適正な価格で売られるべきという点だ。手の届く価格帯に設定されるべきだ。ところが、とてつもなく高額になるチケットもある。チケットのブローカーか誰かが、値をつり上げているんだろう。そのお金は、「一晩に3時間も汗をかいて頑張っている奴らに支払われるべきじゃないか?」と思う。
そんな状況でチケットの価格が高騰した。当時は俺たちも流れに従っていた。一部のファンに不評なのは分かっている。チケットの販売方法に不満があれば、返金することもできる。
―ご存知の通り、ファンはとても怒っています。ブルース・スプリングスティーンのファンが運営するウェブサイトBackstreetsは、自分たちに降りかかる「信頼性の危機」と表現しています。また、ダイナミック・プライシングの採用は「ブルース・スプリングスティーンとファンとの間の暗黙の信頼関係を損なう」との論説も投稿されました。あなたに対するファンからの批判的な反応を、どう捉えていますか?BS:俺も歳を重ねて、大抵のことは上手く対処できるようになった(笑)。批判を受けるのは気持ちいいことではない。もちろん、チケット価格高騰の象徴のようにも言われたくない。そんなのは絶対に嫌だ。しかし現実は違う。自分の下した決断に責任を持ち、最善を尽くすしかない。それが俺のスタンスだ。コンサート会場へ来てくれる人々は、きっと楽しんでくれると思う。
―チケット発売初日に目の前で価格が上がっていくダイナミック・プライシングを、将来的に止めようという考えはありますか?BS:わからない。もちろん、今後は検討することになるだろう(笑)。ツアーごとに事情が異なる。俺たちは復活しようとしている。屋外でやることもあるだろう。だから、コンサートによって全く別の議論になる。今ここで確定的なことは言えないが、状況は常に見守っていく。