ALIが語る、アナーキーな音楽と描きたかった世界

ーALIはかなりの音楽ラバーのバンドでもあって、時期によって聴いている音楽やモードも変わりますが、今はバンドのムードだったりトレンドはどんな感じなんでしょう。

LEO:今回のアルバムを遺作みたいな気持ちで作り終えて、どうするってなった時に、次はディスコオンリーのアルバム作りたいなと思ったんですよ。俺はソウルとディスコと結構偏って聴いていたので、CÉSARからマイベストディスコを選んでもらって勉強していて。ネタを作りながら、次日本語で歌いたいなと思ったりしている。その間に子供が産まれて時間がなかったんですけど、脳内でめちゃくちゃ作っていて。自分の感じにも周りの成長にもびっくりしているんです。今回のレコーディングで、こうやればもっと良くなるんだって収穫もいっぱいあったから、そういった意味では、まだまだやりたいこともいっぱい見つかってきて、今はバンドでそっちを見ていますね。あとは各々の成長というか。CÉSARはCÉSARで音楽に繋がる人間磨きみたいな任務がある。

CÉSAR:頑張ってます!

LEO: LUTHFIは子育てが大変だけど、ベースでヘボったら弾かせねえからって圧をかけていて(笑)。俺は曲の締め切りを守る。そういった部分で各々の背中を見せあいながら一皮剥けようと各々頑張っているところです。

ーCÉSARさんの任務が気になりますね。

CÉSAR:簡単に言うと、社交的になろうとしているんです。

LEO:事務所の社長からの任務なんですよ。実際その成果がライブにもめきめき現れてきていて。顔も違うし、色気も出てきているし、お客さんもついてきている。いい感じだなって。

ー先ほど遺作という言葉が出ましたけど、どんな作品をイメージしていたんでしょう。

LEO:今回ヤマタツさん(山下達郎)の「SPARKLE」のカバーもやっているんですけど、それはヤマタツさんの気持ちが好きだから、かつ、何年聞いてもフレッシュな音楽だからというのがあって。ALIってジャンルが今っぽくなかったり年代不明だったりするので、作品として何年も残るもの、残せるような内容をテーマに作りました。

ー「SPARKLE」のカバーを収録した意図はどういうところにあるんですか?

LEO:『MUSIC WORLD』ってアルバムは、メイドインジャパンを大切にしたいと思って作ったんです。カルチャーが行ったり来たりするのって、すごく大事なことで。日本で流行って、外国に行って、また日本に戻ってくるみたいに往復することが何事においても重要だと思っていて。そうすると進化する。「SPARKLE」も、ハワイの日系バンド、グリーンウッドがカバーしているんです。日本からハワイ、そして日本っていう。年月とともに達成させるカルチャーの行き来。それは美しい営みだと思うんです。ヤマタツさんはカバーについて色々発言されていて、原曲のアレンジとか内容を超えられないと自分ではやらないって。だから、俺らもヤマタツさんのカバーをやる時、尊敬もあるし、死ぬほど珠玉のカッティングなんですけど、絶対にやらないであろうラテンアレンジでやろうと思って。性別年代関係なく音楽が素晴らしいことの1つとして、そういったものが無事できたことは嬉しいですね。

ーALIは日本の中でも東京を掲げていましたが、そこら辺の変化はありますか。

LEO:そこはあまりないでですね。東京でいいと思います。本当は『MUSIC WORLD』って世界中のラッパーとやろうと思っていたコンセプトだったんですけど、フィーチャリング含め、俺らの周りにいるいろんなルーツを持ってるやつらが東京中心に集まったっていうのは変わらずだし、むしろ東京を表現できたかなって感じています。

ーフィーチャリングのアーティストはどのように選出されたんでしょう。

LEO:ラッパーに関しては、俺らは音楽家の面から好きになる傾向が強くて。MFSはラッパーとして最近出てきたばかりですけど、ダンスのカルチャーだったり、お母さんがフラメンコとかサルサの先生だったり、音楽全体に対する造景が深い。そういった意味で音楽全体を愛する人とやることが多いですね。実際、録ってみて魔法が起きて。なんだこの色! みたいに俺たちも驚きましたね。

Rolling Stone Japan 編集部

Tag:

RECOMMENDEDおすすめの記事


RELATED関連する記事

MOST VIEWED人気の記事

Current ISSUE