U2最新インタビュー 「再解釈」アルバムの内幕、ウクライナでの経験、次回作のプラン

 
『Songs of Surrender』制作背景

―実際にアルバムの制作作業を始めた時期はいつ頃ですか?

ジ・エッジ:新型コロナのロックダウンの真っ最中だったから、2021年の初めかな。その年の作業は断続的だった。

―ボーカルのレコーディング時は、あなたもボノと一緒に作業しましたか? それともリモートで進めたのでしょうか。

ジ・エッジ:ほとんど全ての作業を、同じ場所で一緒にこなした。ちょうど2人共フランスにいたので、僕らの友人でありエンジニアとして長い付き合いのあるデクラン・ギャフニーを呼び、さらにチェリストのステファン・ハウザーにも参加してもらった。彼らとは4日か5日間一緒に作業した。おかげで、僕のアコースティックギター1本だけだった「Vertigo」が、アコースティックギターとチェロの見事な競演に進化した。「Dirty Day」もアコースティックギターで作っていたが、最終的にギターの大部分をボツにして、ハウザーのチェロ中心の楽曲に仕上がった。

レコーディングは数日単位で区切られて進んだが、ボノと僕はほとんど一緒にいた。ジュニア・エンジニアとでも言うべきダンカン・スチュワートとも、長い時間一緒に作業した。彼は本来、アーティストだ。僕らはロンドンとロサンゼルスのちゃんとしたスタジオでも、レコーディング・セッションをした。ロンドンでの最初のセッションで、本当にいい感じのスタートを切れた。アダム(・クレイトン)が合流して素晴らしいベースを弾いたし、ブライアン・イーノはバッキング・ボーカルで参加している。

ロサンゼルスではダニエル・ラノワと、ポール・マッカートニーのドラマーとして有名なエイブ・ラボリエルが参加した。2人は、「I Still Haven’t Found What I’m Looking For」で素晴らしいコーラスを聴かせてくれている。この時点で、ボブ・エズリンもいた。ロンドンとロスでのセッションのおかげで、プロジェクトがかなり前進した。レコーディングの山場を越えて、アレンジも具体化できた。



―アルバムのプロデューサーは誰になるのでしょうか?

ジ・エッジ:僕がメインで、ボブ(・エズリン)もプロデューサーの一員だ。それからダンカン(・スチュワート)とデクラン(・ギャフニー)もクレジットされている。僕がリードしたが、苦労したのはボブの方だ。

―ほとんどの楽器をあなたが担当したようですね。

ジ・エッジ:その通り。アダムとラリーの2人もほとんどの曲に参加しているが、全てではない。ラリーのパーカッションは最高だった。ラリーはフルセットのドラムで参加する気がなかったか、準備ができていなかったのだと思う。僕の役割は、ラリーが過去にレコーディングしたドラムから、使えそうなループを探し出すことだった。「Get Out of Your Own Way」にマッチしたドラムループは、少し前のレコーディングの時に、彼が面白半分に叩いたパターンを使った。僕がこのドラムループを発掘した時は「出だしからこの曲にピッタリ合うじゃないか!」と感動した。

「The Fly」では、2本のベースを重ねてみた。最初はノーマルなギター・バージョンを試してみたが、オリジナル・バージョンと似通ってしまい、いまいちだった。エキサイティングでもなかったし、一からやり直すことにした。僕がベースの高いパートを弾き、アダムの低いベースラインと合わせてみると、今まで試したことのない面白い仕上がりになった。

―アルバムは4つのセクションに分かれていて、それぞれにメンバーの名前が付いています。セクション毎に分けた意図は何でしょうか?

ジ・エッジ:正直に言って、直感的な成り行きだった。あまりよく考えずに「この10曲のかたまりのリーダーは誰だと思う?」といった感じで出たアイディアだ。とにかく、よく練ったアイディアではない。僕自身、どうやって決定したのかよく思い出せない。メールのやり取りの中で決められたと思う。「これでいいかい?」と問われて、皆が「いいね。自分のコレクションらしくまとまっている」と返信して決まった感じさ(笑)。

Translated by Smokva Tokyo

Tag:
 
 
 
 

RECOMMENDEDおすすめの記事


 

RELATED関連する記事

 

MOST VIEWED人気の記事

 

Current ISSUE