U2最新インタビュー 「再解釈」アルバムの内幕、ウクライナでの経験、次回作のプラン

 
ラスベガス長期公演「Achtung Baby Live」の展望

―壮大なアルバムのラストは「40」で締めていますね。

ジ・エッジ:今回のプロジェクトは、明らかに、新型コロナウイルスによるロックダウンがきっかけになっている。音楽やバンド自身の装飾を剥ぎ取って基本に立ち返り、僕らが過去に残した作品がどう聴こえるかを確認できる音楽的なチャンスだと捉えたのさ。ロックダウン中の我々も、自分自身の本質を見極める生活だった。

ボノの本の制作も、ちょうど進行していた。彼は各章のタイトルに、僕らの作った楽曲のタイトルを付けることにした。40章に40曲のタイトルという形になるまでに、さまざまな検討がなされた。それに僕らには、「One」という曲と「40」という曲があるからね。



―数カ月前、本の宣伝も兼ねて行われたボノのソロコンサートを、観客として観た感想はいかがでしたか? 過去には決してあり得なかったシチュエーションだと思います。

ジ・エッジ:僕はコンサートの初日に行った。U2でいつもしてきたように、前日に行われた最後のリハーサルの場にも顔を出した。初日はいつだって、緊張する。でも今回は僕には何のプレッシャーもなく、ただの友人の一人として、客観的に観て聴いて楽しめた。最後のリハーサルは本当に感動した。彼は何かを掴んだかのようだった。そして初日は、素晴らしい形でスタートした。

僕はたぶん、最終リハーサルに最も自信があるんだと思う(笑)。リハーサルでのボノの姿を見て、「彼は完璧に決めた。素晴らしいコンサートになるだろう」と確信した。僕は細かい人間でもある。小さなことが気になるんだ。でも今回は、全く気になる点がなかった。完全に客観的な立場でいられたので、楽だった。



―ラスベガスのMSGスフィアで予定されている長期間のレジデンシーコンサートには、「Achtung Baby Live」というタイトルが付けられています。『Achtung Baby』を全曲演奏する予定ですか?

ジ・エッジ:どうすべきか、どうしたいかを決めるのは時期尚早だと思う。自分たちがしっくり来るセットリストを、我々自身で決めたいと思う。今回の会場が素晴らしいのは、音とビジュアルを連動できる点だ。いろいろ取り組まねばならないことが多い。とにかく、コンサートの直前になるまで最終決定はできないだろうね。

―それでも、『Achtung Baby』の楽曲が中心になるのは間違いないでしょうか?

ジ・エッジ:そうだな。『Achtung Baby』を中心に据えて、全曲やると思う。

―Zoo TVツアーのようなビジュアルになるのでしょうか?

ジ・エッジ:これも現時点では何とも言えない。今回のプロジェクトには、当時のコンテンツは通用しないだろう、と僕らは考えている。いろいろな面で違うからね。Zoo TVで使ったスクリーンは割と小さかったし。でも今回は、いろいろやってみる余地も自由もある。Zoo TVを参考にするかもしれないが、再現する訳ではない。



―ブラム・ファン・デン・ベルフが、ラリーの代役を努めます。彼とはどのように知り合ったのでしょうか?

ジ・エッジ:ブラムは、共通の友人であるマーティン・ギャリックスに紹介された。彼のプレイは素晴らしいし、人柄もよい。彼は本当にエネルギッシュな人間だが、同時に付き合いやすい人間でもある(笑)。U2は深い友情と固い結束力で続けて来られたバンドなので、一緒に過ごして素晴らしい人間であることは、もちろん重要な判断基準になる。彼と上手くやって行くために、既にいろいろ調整してきた。素晴らしいコンサートになると思うよ。

もちろん、ラリーがいないのは寂しい。彼がドラムをプレイできる状態でないと知った時は、落ち込んだ。病気を治すのが優先だ。40年間一緒にやってきて、初めての経験だ。こんなに長く誰も欠けることなく続けて来られたのは、驚異的なことだと思う。



―コンサートは、2023年9月にスタートするのでしょうか?

ジ・エッジ:スケジュールは未定だ。まだ施設が建設中だしな。2023年の秋ということで、9月よりも前ということはない。それよりも後になることも考えられる。施設の完成がいつになるか、僕らも待っているところだ。

―MSGスフィアでは、どの程度の期間レジデンシーコンサートを行うのでしょうか?

ジ・エッジ:正確には分からない。クリスマス前には終了したいと思っている。そこは重要なポイントだ。広い会場であることは、念頭に置いている。レイアウトにもよるが、2万人近いキャパシティがあるという。いわゆる従来のラスベガスのレジデンシーコンサートとは違うと思う。短期間になるかもしれないし、まだ分からない。規模については検討中だ。間もなく発表できると思う。

―「Love Is Blindness」を久しぶりにライブで聴けるのが楽しみです。

ジ・エッジ:僕のお気に入りの1曲だ。



―最近では、チケット販売に関するさまざまな論争が持ち上がっています。特に、チケット料金とサービス料の高騰や、ダイナミックプライシングや、良席を独占してしまうbotの存在などが問題になっていますが、この状況をどう考えますか?

ジ・エッジ:僕らはファンのために尽くしたい。その考えが基本にある。U2は、ファンとの関係を最優先に考えている。チケット問題に我々がどう取り組むかは、多方面にわたる複雑な問題だ。とにかくU2は、ファン第一主義ということだ。

Translated by Smokva Tokyo

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