2.5次元俳優・荒木宏文が語る、ストイックに生きる日々と仕事愛

とにかく2年で結果を出すので、それまでは大目に見てほしい。そう親を説得して、地元・大阪にある芸能系専門学校へ入学した荒木。学校ではミュージックビデオやショートムービーの制作をしつつ、外ではオーディションを受けまくる日々が始まった。

「『D-BOYSオーディション』はそのときに受けたのですが、賞を獲ることができなかったんです。でも全然納得がいかなくて。『きっと大阪在住だから落とされたんだ』と思い込んでいました(笑)。“上京さえすれば、オーディションに合格した人達にだって絶対勝てるはず”と、根拠のない謎の自信に満ち溢れていたんですよね。でも、実際に『D-BOYSオーディション』でネルケプランニング(当時)の松田誠さんが審査員をされていたことをきっかけに、ミュージカル『テニスの王子様』のオーディションを受けて合格することができたんです。そのおかげでD-BOYSにも加入することができたわけですから、人生何が起こるか分からないなと思います」

そうして役者の道を歩き出した荒木。しかし演技のことも、映画や舞台のことも、そこまで興味があったわけでもなく、いわゆる「基礎」を全く知らないまま試行錯誤を繰り返していたという。



「それでも自信だけはありました。自分が評価されていないのは、頭の中にある“最高のイメージ”を100パーセント表現しきれていないだけなんだと。それさえ表現できれば、間違いなく素晴らしい俳優になれるとずっと信じていましたね」

最初の壁にぶつかったのは、23歳の時。『テニスの王子様』を卒業し、スーパー戦隊シリーズ『獣拳戦隊ゲキレンジャー』で同じD-BOYSメンバーの鈴木裕樹演じるゲキレッド(漢堂ジャン)と対決するダークヒーロー、黒獅子リオ(理央)役に選ばれる前だった。

「僕は高校時代に腰を壊したことがあるし、体もそんなに強くない状態だったので事前準備が必要だったんですよ。稽古が始まる30分前に入ってウォームアップしていないと動くのが怖かったし、家に帰っても台本を常にそばに置いておかないと不安で仕方なかった。でも、出演者の中には台本もろくに読まないし、稽古が始まる5分前に入って来るような人もいて。なのに本番では最高の演技をするし、お客さんにもキャーキャー言われているんです。その姿を見たときに、『スターってこういう人たちのことなんだろうな』と。凡人の自分が、そんなスターに太刀打ちできるはずがない。そう思ったときに、ようやく周りを認めることができるようになりました」

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