2.5次元俳優・荒木宏文が語る、ストイックに生きる日々と仕事愛

そんな荒木にとって、同じ事務所の後輩である瀬戸康史との出会いは大きかったそうだ。

「あいつはすごく真面目だし、もの静かで黙々と一人で努力しているタイプ。すごく器用で頭の回転が早いのに、そこに甘んじていないというか。『忙しくて疲れることより、仕事がないことの方が不安なんです』とよく言っていたんですよ。どれだけ寝不足でも、仕事があるだけありがたいって。そういう考え方に共感を覚えました。『同じマインドで頑張っている後輩がいるなら、自分はちゃんと背中を見せられるような尊敬できる存在にならなきゃ』って。それが自分自身のモチベーションにつながっていた気がしますね」

前述した『刀剣乱舞』はもちろん、2月には舞台『モノノ怪~化猫~』に主演するなど「2.5次元俳優」として押しも押されもせぬ存在の荒木。たくさんの作品ファンから愛されているアニメや漫画、ゲームのキャラクターを演じる上で、心掛けているのはどんなことだろうか。

「普通の映画や舞台と違い、2.5次元舞台や2.5次元ミュージカルでは容姿がすでに決まっているキャラクターを演じなければならないんです。そのためには自分の個性は必要ない。どれだけそのキャラに近づけるかが何より大切です。この努力を怠れば、原作ファンの期待を裏切ることになってしまう。僕自身は、キャラの容姿はもちろん『こういう姿だから声色はこうで、口癖もこうなって、佇まいはこんな感じなんだろう』といった具合に、とにかく細胞から作り替えていく気持ちで取り組んでいますね」



そう言ってアメリカンスピリットに火を付ける荒木。彼にとって、タバコを燻らせる時間だけが唯一「自分」を取り戻せる瞬間なのだという。
「兵庫県から上京してきたときからずっと、東京には“仕事をしに来ている”というマインドを捨てないようにしていますね。常に仕事のことを考えるようにしている。例えば食事も、自分がそのときに演じている役に合わせて『何を身体に取り込むべきか?』を考えますし。それは2.5次元という、容姿が決まっているキャラクターを演じることが多いから不摂生はできないんです」

体重や体型も、舞台の期間中はずっとキープしなければならないので、とにかく生活習慣は徹底的に管理している。

「そのときに演じている作品、次に演じる予定の作品に合わせて生活スタイルを決めているくらいなので。ストイックですかね? 確かに、“ながらタバコ”なんてもったいなくてできないです。スマホとか一切見ずに1本集中型の喫煙(笑)。今は吸える場所も少なくなってきたし、ますますタバコの時間が貴重になっています。健康には人一倍気を使っていますね。『タバコ吸ってるから不健康なんだよ』なんて言われるのがいちばん悔しいので、誰よりも健康であろうと頑張っていますね」

>>未公開撮り下ろし写真(全5点):都内某所のスタジオにてリラックスして撮影に臨んだ荒木宏文


『ヒットマン・ロイヤー』
主演:荒木宏文 陳内将 秋谷百音 高橋健介
監督:大野大輔
配給:クロックワークス
4月21日(金)よりシネマート新宿他にて限定公開


荒木宏文
1983年兵庫県出身。2004年、第1回「D-BOYSオーディション」で最終選考に残り、俳優集団D-BOYSに加入。2005年1月「ミュージカル『テニスの王子様』」で2代目乾貞治役を務め注目を集める。その後、舞台、映画、アーティスト活動と幅広い分野で活動し、2.5次元舞台では第一線を走っている。

Styling = Shuichi Ishibashi
Hair and Make-up = Junko Kobayashi

ジャケット ¥27,500、シャツ ¥20,900、パンツ ¥19,800(SOUTH2 WEST8 TEL: 011-280-7577) ミュール ¥50,600(ENGINEERED GARMENTS TEL: 03-6419-1798)

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