ちゃんみなが見せた素の姿、「大丈夫じゃない」と歌えるようになった理由

ちゃんみな

ちゃんみなは、いつだって聴き手の期待を超えてくる。約1年半ぶり4作目となるフルアルバム『Naked』は、そのタイトルが示すように自分と向かい合い、彼女の内面を曝け出した裸の作品となっている。いとこのヨジンが弾いたヴァイオリンの音色にちゃんみながセッションで歌ったプライベートな音色の「444」や、幼いころに受けた心無い言葉と出来事を綴った「RED」など、これまで以上に彼女の内面を聴き手に見せてくれる。

その背景には、日本武道館公演を終えて全てを出しきったこと、海外への旅、「サマーソニック」への出演、それらを経て生まれたオーディエンスへの信頼がある。3月21日に横浜アリーナで行われたワンマンライブ『AREA OF DIAMOND』では満員の観衆の中でメイクを落として「美人」を歌い、圧巻のパフォーマンスを見せた。悲鳴にも近い声、驚きで声すらでない異様な雰囲気、そして訪れる感動と畏敬の念。もし未見であれば、いますぐにでも観てほしい。こんなステージは他にない。

また、本作はワーナーミュージック・ジャパン内に発足した新レーベル「NO LABEL MUSIC」からリリースされた。ちゃんみながレーベルを立ち上げたのには、彼女の強い信念が込められている。作品を重ねるたびに表現力を増し、それに甘んじず、さらなるパフォーマンスを魅せる。ミュージシャンとして、表現者として、他に類を見ることのない存在になったちゃんみな。それでいて、笑顔が増してよりチャーミングになった彼女の生の言葉をお届けする。

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──アルバムの話の前に、まずは横浜アリーナ公演のことから伺わせてください。2018年から始まったライブプロジェクト「THE PRINCESS PROJECT」が、2021年10月の日本武道館公演をもって完結しました。それ以降、初めてとなる大きなワンマンとなった横浜アリーナ公演は、どのように動き出したんでしょう?

ちゃんみな:もともと「THE PRINCESS PROJECT」ファイナルの目的が、そのとき私の中にあったものや、やろうとしていたものを一旦空っぽにすることだったんです。実際、それを達成したことによって、いい意味で空っぽになって。そこから私の中に何が入ってくるか楽しみながら考えようという感じだったので、言葉を選ばずに言うと、その時点では何も考えてなかった。あえて、スッキリさせたかったんです。

──そういう意味でも、武道館はひとつの集大成だった、と。

ちゃんみな:武道館が終わった次の年から、コロナも少し落ち着いてきたので、ニューヨーク、ロサンゼルス、韓国に行って、いろんなクリエイターと触れたりセッションをして。海外に行ったのは、制作のためでもあったけど、自分の中で何が溜まっていくのかを探す旅でもあったんです。実はその時、私はもう音楽が作れないと思うくらい出し切っていたんですけど、ニューヨークに行ってブロードウェイを見てインスパイアされたものがあって。それでやっと私の中に音楽が戻ってきた感じがあった。なので、新しいアルバムはいい意味でフレッシュな頭で作れたし、フレッシュな心で接することができたんです。新しい感情とも出会うことが多かった中で、横浜アリーナのテーマが見つかっていった感じです。

──別のインタビュー記事を読んでびっくりしたのは、武道館を終えて自信を失ったそうで。まさかそんな心の内だったとは意外だったんですけど、なにがあったんでしょう。

ちゃんみな:あのときは、コロナ禍で声出しができなかったこともあって、オーディエンスの反応がわからなくて。自分が示したものを、本当に素晴らしいと思ってくれたのか、こんなもんかと思われていたのか、わからなかった。あと、私が夢見てた武道館じゃなかったんですよ。私が夢見ていた武道館は、武道館の大きさ分の歓声とお客さんの顔があったけど、コロナ禍で半分しか入れられないし、マスクをしなきゃいけない、声が出せなかったりと、無理やりやった感じというか、夢見ていたものと違うなっていう部分で自信を失いましたね。

──ものすごい素晴らしいライブでしたけど、客席からそれを伝える術が制限されていたことで、オーディエンスとのコミュニケーションが通常通りできなかったわけですね。

ちゃんみな:あと、2022年はワンマンはやっておらず、表に出ることも控えてたというか。制作期間というのもあったんですけど、みんなの前に出てしゃべるとかもあまりやってなかったんです。

Rolling Stone Japan 編集部

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