瀬尾一三のアレンジ曲から読み解く、70年後半から80年代頭の音楽的な文明開化

中島みゆき

日本の音楽の礎となったアーティストに毎月1組ずつスポットを当て、本人や当時の関係者から深く掘り下げた話を引き出していく。2023年3月は中島みゆき・瀬尾一三特集。ゲストに瀬尾一三を迎え、1カ月間に渡り特集していく。今週はPART3。瀬尾が関わった曲を集めた『時代を創った名曲たち 4 ~瀬尾一三作品集 SUPER digest~』の前半を紐解いていく。

田家:FM COCOLO J-POP LEGEND FORUM案内人田家秀樹です。いま流れているのは中島みゆきさんの「麦の唄」。今月2023年3月の特集は、中島みゆきと瀬尾一三、2023。日本を代表するシンガーソングライター中島みゆきさんと、88年以来、彼女を手掛けているプロデューサー・アレンジャー・音楽監督、瀬尾一三さん。編曲という立場で70年代以降の新しい音楽を作り続けてきた最大のレジェンド。3月1日にみゆきさんの44枚目のアルバム『世界が違って見える日』が発売されました。

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同じ日に出たのが 瀬尾さんの関わった曲を集めた『時代を創った名曲たち 4 ~瀬尾一三作品集 SUPER digest~』。アレンジャーのコンピレーション・アルバムとして異例の大ヒットシリーズの最新作。全17曲の最後の曲が、この「麦の唄」でした。今月は前半2週がみゆきさんのアルバム『世界が違って見える日』、今週と来週が瀬尾さんのアルバムの全曲紹介という4週間。ゲストは4週間、瀬尾さんにご登場いただいております。この番組最多登場ゲストです。こんばんは。4が出ましたよ。

瀬尾:本当ですよね。僕も考えられないと思って。本当にレコード会社さんのおかげで4が出てしまったのでって感じですね(笑)。

田家:1を作った時にはまさかこんなに長くというふうには?

瀬尾:初めの1枚目が2枚組だったので、それで十分だったんですけど、次出しませんか?って言われて終わりかなと思って出したら、「また次出しませんか?」って言っていただき、4枚目まで行ってしまいました(笑)。

田家:瀬尾さんのご本がヤマハから出ておりまして、『音楽と契約した男』。この最後にリストが載ってるんですよ。3000曲。

瀬尾:まあ、それも調べきれなかったものもまだあるみたいだし、僕も覚えてないので。時々いろんなところで、「あれ、もしかしたらこれ僕かな?」って曲もあったりとかして、新しく増刷されるたびにちょっとずつ曲が加わっているという状態ですね。

田家:この本も増刷されて4刷になっているんですよね。この『SUPER digest』、1枚目が2枚組になっているんですけど、4を入れて収録が70何曲。でも3000曲以上あるわけですから、まだいっぱい残っているわけですよ(笑)。

瀬尾:タイトルがおこがましいというか、このアルバムのコンピレーション・タイトルが『時代を創った名曲たち』。こんなこと言ったら失礼なことになるけど、時代に埋もれてしまったものもあるので。でもそれをまた今の時代にまた改めて聞いてもらうっていうのもいいかもと思ったりしているんですけれども。

田家:今回のコンピレーションの中の曲には、リストに入ってない曲があったっていう話も、おいおいお聞きしながら続けていきたいんですが、最後17曲目が「麦の唄」だったんですね。今月はみゆきさんの新作の特集でもあるんで、今日はこの曲から敬意を表してお送りしたいと思います。



田家:これまでに手がけた曲の資料といいますか、データといいますか、音源みたいなものは瀬尾さんとこに残ってらっしゃるんですか?

瀬尾:いや、もうほとんど残ってはいません。完成したものはどっかの倉庫に入ってると思いますけど、だからといって全部を頂けるわけでもないので。70年代、80年代、90年代、アイドルの方は詞もなにもなくてメロディだけしかないものをアレンジしなければならなく、本人が現場にいらっしゃるわけでもなく、スタジオミュージシャンの方がラララとかルルルで歌ってっていうので、覚えてないんです。経済的にも右肩あがりの時代だったので、本当にすごい量をやってた時もありましたので。1年に300曲ぐらいアレンジをしていたときもあったので、本当に申し訳なんですけども、飲み屋さんで後で聞いて、なんか聞いたことあるなぁ、こんな曲になったんだとかっていうのがよくあるので、はっきりとよく覚えてないのが多いですね。特にアイドルさんのものは本当に申し訳ないけど覚えてないです。

田家:来週はそういう曲も何曲か登場するんですが、その話も伺いたいと思います。

Rolling Stone Japan 編集部

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