瀬尾一三のアレンジ曲から読み解く、70年後半から80年代頭の音楽的な文明開化



流れているのは、この番組の後テーマ、竹内まりやさんの「静かな伝説」です。

去年12月に大村雅朗さんの特集を組んだ時に、改めて思ったことがありました。70年代も80年代も、アレンジャーやプロデューサーで音楽を聴くという聴き方が、日本の音楽リストの中にほとんどなかったと思ったんですね。去年一昨年と、大村さんがいろんな形で再評価されるようになって、その流れで特集を組んだわけです。でも瀬尾さんの特集は、その前から何度もお願いしていて、今回が7回目ということで、「J-POP LEGEND FORUM」10年目に入るんですけども、最多ゲストなんですね。大村さんは夭折の方で、瀬尾さんはまだ現役で仕事されている。今回の『SUPER digest~』からコンピレーション・アルバムとして異例の結果を残している。これはある意味で当然のことだなと思ったりもしました。3000曲から選んでいるわけですからね。この4枚で77曲。ヒットしていた曲も知られざる曲も、まだまだいい曲、いいアレンジの曲も山のようにあるわけで、サブスク時代だからこそこういう曲に光が当たるべきなんではないかなと思ったりもしております。

瀬尾さんのアレンジの懐の深さとか幅の広さとか、ドラマチックな作り方とか、いろんな多面性を実感できる。それがこの『SUPER digest~』のシリーズではないでしょうか。中島みゆきさんも「夜会」を始められると思ったのは、瀬尾さんと出会ったから。これはなるほどなぁと思わされる、そんなシリーズになっていると思います。来週はアルバムの後半をお楽しみいただきます。



<INFORMATION>

田家秀樹
1946年、千葉県船橋市生まれ。中央大法学部政治学科卒。1969年、タウン誌のはしりとなった「新宿プレイマップ」創刊編集者を皮切りに、「セイ!ヤング」などの放送作家、若者雑誌編集長を経て音楽評論家、ノンフィクション作家、放送作家、音楽番組パーソリナリテイとして活躍中。
https://takehideki.jimdo.com
https://takehideki.exblog.jp

Rolling Stone Japan 編集部

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