瀬尾一三のアレンジ曲から読み解く、70年後半から80年代頭の音楽的な文明開化

男と女 / CHAGE and ASKA

田家:瀬尾さんのキャリアの中でCHAGE and ASKAは欠かせない。

瀬尾:そうですね。やっぱり「ひとり咲き」からの付き合いだったので。彼らが僕の手を離れて大ヒット、世の中をいろいろと席巻していったドラマとかの前の時代なんで。

田家:この「男と女」は中国でカバーが大ヒットして。

瀬尾:みたいですね。中国の人好きですよね、日本のこういう歌。中島さんも中国語でやってらっしゃる方いっぱいいるからね。

田家:「男と女」を編曲されたときはアジアでヒットするみたいなことは全然考えてない?

瀬尾:そんなことは考えないです。目の前にあるので精一杯で。後で日本のみならず、他のところで話題になって、心に引っかかってくるっていうのが嬉しいですよね。

田家:CHAGE and ASKAが94年からアジアツアーを始めるんですけど、そもそものきっかけは、これが中国でヒットしてて、誰が歌っているか誰も知らない。

瀬尾:あ、向こうの人はね。向こうの人が歌ってるのがオリジナルだと思ってしまうからね。

田家:俺たちが歌ったんだよって言いに行こうぜっていうところから始まってる。

瀬尾:まあ、承認欲求ですから(笑)。



田家: 1982年発売、杏里「Fly By Day」。作詞作曲が角松敏生さん。ファンクしてますね。

瀬尾: 70年代に入って後半ぐらいから80年代90年頭ぐらいまで、特に70年後半から80年代の頭は、僕的には音楽的な文明開化だと思ってますよ。洋楽が入ってきた。それまでの日本人に16ビートってなかった。今の人たちから見れば、ウエストコーストなんとかだよねって今のシティポップのことを言ってますけど、本当に僕たちにとっては新鮮なものだったんですよ。演奏ができるっていうことで嬉しくて。今シティポップって持て囃されているけど、僕からすれば洋楽の和風味付けの闇鍋だと思っている。

田家:闇鍋ね。

瀬尾:闇鍋が今の海外の人たちが面白かったんだと思う。

田家:杏里もデビューから関わられていて、このアルバム『Heaven Beach』は全曲アレンジ。全曲こういう今でいうシティポップ。

瀬尾:闇鍋です(笑)。

田家:『Heaven Beach』は、そういう意味ではこれから脚光を浴びるかもしれませんね。来週のテーマはシティポップということにもなりそうです。来週もよろしくお願いします。

瀬尾:よろしくおねがいします。

Rolling Stone Japan 編集部

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