アーロ・パークスが語る渾身の2作目、彼女の目に映る「喜びと痛みと迷い」の世界

映画とミッシー・エリオットの教え

ニューアルバムに収録されている「Weightless」では、愛に対する渇望が歌われている(去年リリースした「Softly」は今回のアルバムには未収録、その時(去年)がリリースすべきタイミングだったとのこと)。この曲の制作においては、LCDサウンドシステム、UKエレクトロニック・ミュージシャンのロレイン・ジェームズ(Loraine James)、ラッパーのジョン・グレイシア(John Glacier)といった、”パワフルでシンセドリブン”なアーティストたちの影響が大きかったと話す。みんなに驚きを与えることを大事にする彼女は、ラッパーであるミッシー・エリオットが、自身のスキルをみんなに披露したいと語った2ndアルバムのインタビューを引き合いに出し、「このトラックはかなり強さがある」と言う。「一方で、歌詞にはある種の脆さがあって、私が求めていた世界がうまく表現できてると思う」




デビューアルバムと2019年リリースのEPで、影響を受けたアーティスト/作品のリストを見たことがある人はご存知のとおり、彼女はアートとその文化に強い関心を持つ学生でもあり、「何でも吸収したい」と意欲的な姿をみせる。ニューアルバムでは、写真家のハーリー・ウィアー、タイラー・ミッチェル、ヴォルフガング・ティルマンス、フランス人映画監督クレール・ドニによる『35 Shots of Rum』からインスピレーションを受けている。「世界観を作り上げるために、数カ月のあいだ毎日1本映画を観ていた」と彼女は話す。

ニューアルバムのタイトルは、80年代のロンドンを舞台にした映画学校に通う主人公を描いたストーリーで人気を博し、2019年に上映された映画『ザ・スーベニア~魅せられて~』に由来している。映画の中で、登場人物たちは映画を作る理由についてこのように語る:「ただのパフォーマンスとしての人生はいらない。このソフト・マシーン(soft machine)を通過した人生が見たいんだ」自身の気持ちを歌詞に綴ることの意味について考えてきた彼女に、このアイディアが心に響いた。彼女にとって、ソフト・マシーンとは自身の身体、目、そして心のことだ。




音楽活動以外について、彼女は新しいことを学び続けたいと話す。最近はDJをしたり、ガーデニングを楽しんでいるようだ。アシュニコとフォレージ・ウォークに参加したりと探究心は底知れない。また、ブリティッシュ・ファッション・アワードのセレモニーに参加した際に、多くのデザイナーたちから刺激を受け、いつか服作りを学びたいとも語ってくれた。

探究心は自分自身に近づくことだと彼女は話す。文化的創造物や趣味からは、彼女が尊敬するアーティストのエリオット・スミス、友人であるフィービー・ブリジャーズ、クレイロとの関連性をよりクリアに際立たせる。彼女が求めた勇気とは、ミッシー・エリオットが見せてきた、探究し続けること、自身の感情を偽らないことーーその勇気を手にした彼女は柔軟で、そして自由だ。

「『揺るぎない存在になるには?』って、いつも考えている」と彼女は言う。「私が尊敬するアーティストたちのような、確固たる存在にね」

From Rolling Stone US.




アーロ・パークス
『My Soft Machine』
2023年5月26日リリース
日本盤ボーナス・トラック3曲収録
詳細:http://bignothing.net/arloparks.html

アーロ・パークス MY SOFT MACHINE TOUR 2023 JAPAN
2023年7月5日(水)東京・恵比寿ガーデンホール *SOLD OUT
2023年7月6日(木)大阪・梅田クラブクアトロ
詳細:https://www.creativeman.co.jp/event/arlo-parks_2023/

Translated by Natsumi Ueda

RECOMMENDEDおすすめの記事


RELATED関連する記事

MOST VIEWED人気の記事

Current ISSUE