Shygirlが日本で語る 妖精のような浮遊感、ビョークからの学び、XGへの熱視線

〈PC MUSIC〉と〈NUXXE〉について、XGへの熱視線

―時代を代表する先鋭的なミュージシャンとして紹介される一方で、ファッション面でもアイコニックな存在として扱われることが多いと思います。ご自身の中ではどのような気持ちでその役割を引き受けていますか?

シャイガール:普段はトラックスーツでくつろいでるから、そういったイメージを持たれてるってちょっと変な感じだよね(笑)。でも、ファッションは自己表現であって、アーティストとして表現の方法に関わることでもある。それから、ファッションには変化をもたらすパワーもある。普段着からステージの衣装に着替えた途端、スイッチが入るよね。やっぱり普段着でステージに上がってパフォーマンスできるとは思えないし、そういったファッションのパワーは、この世界で時折必要だと思う。あと、クラフトマンシップについてもリスペクトしてる。どうやってファッションを表現の一部にしようかってことは常に考えていて、それは音楽への好奇心と似ている。きっと、ファッションに憧れる人と音楽に憧れる人の間にはかなり類似点があるように思う。両者とも、現実世界とイマジネーションの世界を融合させようとしている。私は、その2つを結ぶパイプになりたいと思ってる。


Photo by Angela Steps

―先日、レーベル〈PC MUSIC〉が活動を終了するというニュースがありました。あなたはレーベルと近い位置で活動してきましたし、所属ミュージシャンとの交流もありました。改めて、PC MUSICから受けた影響を今振り返ってどのように感じていますか?

シャイガール:音楽業界に変化を与えたっていうことを自分たちで認識することはとても大切だし、アーティストとして自分たちが築いた世界から離れたいと思ったのなら、それに従うことは自然だよね。一時代を築いた多くのアーティストたちが方向転換するのって、よくあることじゃない?〈PC MUSIC〉は、確実に一つの時代を作った。そこから離れてまた新しい実験を続けたいっていう考えは、容易に想像できる。アーティストたちは当初からかなり成長しているし、まだまだ先の景色を見たいんじゃないかな。正しい判断だと思うし、それは、私たちへのギフトだね。次に何を生み出してくれるのか楽しみにしてる。

―あなたは〈NUXXE〉の創始者としても知られていますが、今はレーベルの運営にどの程度関わっているのでしょうか?レーベルの今後の構想は何かありますか?

シャイガール:レーベルのアーティスト・アンド・レパートリー(A&R)は一時的にストップしていて、今は自分たちの活動にフォーカスしている。レーベルは私にとってパーソナルなもので、一度も誰かに渡そうと思ったことはない。私とセガ(・ボデガ)、クク・クロエとのフレンドシップから始まって、私たちの音楽への情熱と、自分たちで音楽を作りたいっていう好奇心から全てがスタートした。私たちのレーベルからリリースしたいというリクエストがたくさん来るんだけど、でも私も業界のことを理解してるわけじゃないでしょう? とくに到達地点があるわけでもなく、レーベルを始めた。だから、試行錯誤の日々。レーベルの周りでコミュニティが形成されていく様子を見るのはとても面白くて、光栄なことだと思っている。今、私たちはそれぞれの個人のキャリアの行先を直感的に考えようとしていて、それって今後アーティストを育てたり誰かにプラットフォームを提供したりっていう時に絶対に役立つはず。レーベルを完全に止めるっていうことはしたくないけど、キャリアについて模索してる最中に、別のプレッシャーを感じるのは正しい判断とは言えない。今のこの忙しさも、ありがたいと思ってるしね。だから、止めることなく裏で静かに活動してるって感じかな。

―ありがとうございます。最後に、あなたが注目している日本のアーティストや、好きな日本のカルチャーがあったら教えてください。

シャイガール:XGっていうガールズグループのファンなの! 彼女たちのヴィジュアルは最高! ご存知のとおり、私はヴィジュアルにうるさいのよ(笑)。XGは世界観をとてもうまく表現していると思う。恐らくグローバルマーケットを見込んでいると思うんだけど、インターナショナルな雰囲気も感じるよね。MVでコラボしてた韓国のフォトグラファーも好みだった。そうね……今知っているのは、彼女たちくらい。最近、ずっと自分の音楽のバブルに立ち会っていて……ちょっと顔を上げてみると「今、一体何が起こってるの?」っていう具合(笑)。だから、今日はようやくNewJeansを観ることができたんだ。XGには機会があれば会ってみたい!


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シャイガール「Crush」には、NewJeans『Get Up』の楽曲制作にも参加したエリカ・ド・カシエールが迎えられている

Translated by Natsumi Ueda

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