SKY-HIが語る、「刃牙」シリーズと「THE FIRST」の共通点

BE:FIRSTとのスプリットシングルに込められた想い

ーまた「THE FIRST」と比較しちゃうけど、ボーイズグループを1組作るという本筋がありつつ、そこからトレーニーが生まれたり、ソロデビューする人がいたり、次の新しいグループに行く人がいたりっていうのも、「本筋じゃないところで本筋が起こる」ことの表れとも言えそうですよね。

SKY-HI:トレーニーと新しいグループはまだわかりますけど、ソロアーティストが2人生まれてるの面白いですよね(笑)。あとNovel Coreの物語も「THE FIRST」にはちょっとあるわけで、それこそ漫画だったらスピンオフが描けますよね。「THE FIRST」を漫画やアニメにしたときに誰が主人公軸でも成立するっていうのはすごい思ってて、それは妄想したことがあります。絵柄も変わるんですよ。RAN主人公とLEO主人公でも違うし、Shota主人公とSOTA主人公でも違うし、全部想像すると漫画の種類もだいぶ違ってくる。

ーやっぱりモブキャラはいない感じがします。

SKY-HI:俺REIKO主人公が一番王道なドラマがあると思ってて、それはプロデューサーとか社長目線に近いし今のタイミングもあるかもしれないですけど、「THE FIRST」でもまだ堀り足りてないところがあるので、それはいつかやりたいなって……まああれはやっぱりコロナ禍で、自分はその期間本当にそれしかやってなかったし、スタッフの人たちもほぼそうだったわけで、そんなことが今後またできるかというと難しいけど……でももう板垣先生は自分のことを「刃牙屋」って言ってて、多分一生「刃牙」を描く。「THE FIRST」もそういうライフタイムものになってるといいなとは思いますね。

ー「刃牙」ファンの日高さんが『範馬刃牙』のテーマ曲を担当するのは納得感がありつつ、BE:FIRSTとのスプリットシングルとしてリリースするというアイデアは驚きました。

SKY-HI:ちょっと悩みましたけどね。「刃牙」ファンの自分にとってこんなありがたい話はないので、何も余計なことを考える必要はなかったんですけど、この企画は1年半前くらいから進めていたので、デビューから2年経ったビーファの状況がどうなっているのか分からない中、強力なイメージのあるアニメタイアップの曲をリリースすることの怖さはすごくあったんです。その帰結として一番美しかったのが、スプリットシングルという形だったんですよね。ちょうど自分と前の事務所との契約が完全に終了して、SKY-HIとBE:FIRSTが同じ事務所、同じレーベルと契約してるという状態になることが決まっていたから出せたというのもあります。

ーまだデビュー仕立てでグループとしてのイメージが確立されていなかった分、色の強いタイアップをつけることに対する不安があったと。

SKY-HI:例えばですけど、ENHYPENはデビュー当時のゴシックっぽい感じから、いろんな状況の中で、ストリートに作風が寄ったりする事もあるわけじゃないですか。同じようにビーファがどうなってるかわからない部分もあったから、どんなグループになっていても成立する曲にしようっていうのは思ってたんですけど、もしもっと繊細なグループに育っていたら、「範馬刃牙」というワード自体に「なんで?」ってなる可能性もあったわけじゃないですか。逆に過剰にマッチョな印象がついちゃう可能性もあるし、そこのビビりは正直ありましたね。

ー「BE:FIRSTらしさ」を保持する上でも、スプリットにしてSKY-HIと対比することによってそれを明確化することになっていると言えそうですね。ちなみに、今回は勇次郎と刃牙の関係をSKY-HIとBE:FIRSTの関係に置き換えてるわけですけど、実際に日高さんとBE:FIRSTはある意味親子のような関係性だと言えますか?

SKY-HI:「生みの親」っていうワードなら正しいとは思います。よく例えで出しちゃってるけど、『ROOKIES』みたいな関係って言うとしっくりくるんです。でもいわゆる親子かっていうと、そうでもないかなとは思いますね。まあでも自分が『範馬刃牙』で一番好きなのも関係性萌えではあるんですよ。勇次郎という地上最強の生き物が刃牙の家に靴を脱いで上がったり、魚の食べ方を注意したり、刃牙が超ビビリながら勇次郎に喧嘩をふっかけようとする、あの感じがいいっていうか、やっぱり自分も父親がいるので、身に覚えがあるんですよね。俺の親父は普段あんまり家にいなかったので、たまに帰ってくると基本は嬉しいんですけど、2人になってしまうとちょっと緊張するんです。親父も親父で何を喋っていいかよくわかんなかっただろうし。でも俺一回「キャッチボールをしてくれ」って頼んだことがあって、その後に中華料理を食べさせてくれて、帰路についたっていうだけの1日があったんですけど……それは30歳を超えてからも時々思い出すんですよね。


Photo by Mitsuru Nishimura

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