U2、「新時代のコンサート」でラスベガスを席巻 歴史的一夜の総括レポート

アンコール、ポール・マッカートニーへの敬意

1988年か1991年の曲で占められたメインセットのあと、彼らは再び登場すると「Elevation」で2000年代に突入し、そこから新曲の「Atomic City」、「Vertigo」と続けた。ラスベガスのスカイラインの巨大な映像がスクリーンを埋め尽くし、ビルはゆっくりと何もない砂漠を残して溶けていった。この演出は、『The Joshua Tree』の時間であることを意味しているとしか思えない。


Photo by Kevin Mazur/Getty Images for Live Nation

「Where the Streets Have No Name」で観客は総立ちになり、荘厳な「With or Without You」で、我々がいたのと同じような巨大な青いボールを中心にした、砂漠の砂に水が満ちていく映像が流れているあいだ、彼らはずっと立ち続けていた。「ハードワーカーに賛辞を送りたい」最後にボノが言った。「ジェームズ・ドーラン、『スフィア』をありがとう。君はイカれた野郎だ。この素晴らしい場所をありがとう」




それはアーヴィング・アゾフ、ジェフリー・アゾフ、アーサー・フォーゲル、マイケル・ラピーノ、そしてU2の元マネージャーであるポール・マクギネスとガイ・オセアリーを含む、長い謝辞リストの始まりだった。ポール・マッカートニーも会場のどこかにいて、ボノは「Love Me Do」「Blackbird」「Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band」の断片をセットに散りばめることで、一晩を通して彼を称えた。「マッカが僕たちの前にいる」ボノは言った。「この場にモーツァルトがいるようなものだ。あなたの曲は1000年後も演奏されるだろう。僕たちはあなたのことを愛しているし、あなたの曲をたくさん盗んできたんだ」

この日の夜は「Beautiful Day」で幕を閉じ、動物界の隅から隅まで、まるでノアの方舟から飛び出すかのように詰め込まれた生き物たちのカラフルな映像が映し出された(“口に葉をくわえた鳥を見る/洪水の後に全ての色が飛び出した”)。


Photo by Kevin Mazur/Getty Images for Live Nation

これは、U2が12月16日まで「スフィア」で行う25公演のうちの最初の公演である。来年初頭まで滞在期間を延長する可能性も示唆されており、今後のヘッドラインは発表されていないが、Variety誌はハリー・スタイルズがその一人になるかもしれないと報じている。

今後どうなるにせよ、「スフィア」にとって、このU2のショー以上にコンセプトを証明する機会は想像しがたい。このようなものを体験した後、ショボいスポーツ・アリーナでのショーに戻ることを想像するのは、ほとんど苦痛でしかない。

この夜、ポール・マッカートニーは「スフィア」のレジデンシー公演を想像したはずだ。もしそれが実現すれば、ジェームズ・ドーランは20億ドルを取り戻すことに大きく近づくだろう。それまでの間、U2がこのエネルギーをスタジオに持ち込んで新譜を制作することを期待しよう。特に「スフィア」のような場所で数週間、過去に浸るのは楽しいが、世界はU2の素晴らしいアルバムをもう1枚必要としている。彼らは何年も前に『Achtung Baby』で疑心暗鬼の人たちが間違っていることを証明した。今の彼らはもう一度やってのけるかもしれない。

From Rolling Stone US.




U2
『Atomic City』
配信・購入:https://umj.lnk.to/U2_AC

Translated by Rolling Stone Japan

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