チャーリー・プース来日公演レポ、5年ぶりのステージで見せた「懐の深さ」と変わらぬ熱量

チャーリー・プース(Photo by Aysia Marotta)

東京2デイズが即完したチャーリー・プースの来日公演。10月17日、初日の有明アリーナには、当然ながら女性ファンの姿が多く目についたけれど、男性ファンも少なくない。5年ぶりの来日だけに、開演前から会場には異様なまでの熱気と高揚感が溢れていた。

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場内が暗転し、マイケル・ジャクソンの「Don’t Stop ‘Til You Get Enough」が流れ出し、まずはバックバンドが登場。続いてチャーリーが現れると、ステージには眩いばかりのライトが照らされ、最新アルバム『Charlie』からの「Charlie Be Quiet」で始まった。1曲目からオーディエンスを煽ったり、コーラスを求めたり、演奏しながらのお喋りもたっぷり。カジュアルでリラックスしたムードのなか、ライブは進行していった。



驚異的ハイトーンボイスで沸かせた「Attention」、イントロから大盛り上がりになった「Stay」のカバー(ザ・キッド・ラロイ&ジャスティン・ビーバーのヒット曲だが、チャーリーも制作に関与)、曲作りのプロセスを紐解きながら披露された「Left And Right」など、常にハイライトの瞬間を作って、楽しませてくれる。曲によってピアノやキーボードを弾いたり、肩掛けのショルダーキーボードを持ち出したり、演奏者としても大忙し。肩肘張らないイージーゴーイングな雰囲気ながら、パフォーマーとしての熱量に圧倒される。だからこそこんなに大きなオーディエンスを魅了できるのだ。小さなライブハウスで観ているかのような親密感を抱かせながら、最上階の最後列の観客までをずっとを立ちっぱなしで釘付けにする。

4人編成のバックバンドは、決して出しゃばらず、だが的確でダイナミックな演奏を繰り広げた。各プレイヤーがスポットライトを浴びるパートも設けられ、ソロではかなり自由にインプロバイズしていた印象だ。もちろん主役はチャーリーではあるけれど、一緒に作り上げている様子はジャムバンドのようでもあった。ミュージシャンとしての気持ちを理解しているチャーリーならでは、という気がする。



Photo by Aysia Marotta

中盤の「We Don’t Talk Anymore」や終盤近くの「Loser」からはAORを思わせる洗練されたポップセンスも感じられ、「Done For Me」にはジャズ的アプローチも窺えた。更にソウル、ゴスペル、70〜80年代ポップスなどの影響もそれとなく差し挟まれ、懐の深さを感じさせる。歌っているのは現代ポップソングではあるけれど、その根底には先人の創造したサウンドへの敬意や愛情が流れている。



この日は風邪気味だとMCで明かされたが、彼のボーカルパワーと絶対音感は健在だった。事前に録ったボーカルトラックも多用されてはいたが、決して生ボーカルの代用としてではなく、生歌と重ねることでコーラスを作ったり、掛け合いを可能にしたり。相乗効果を上げるために使われている点にも感心させられた。

アンコールのラストは、もちろん彼の出世ソングである「See You Again」。あの『ワイルド・スピード SKY MISSION』で誰もが涙した、ウィズ・カリファとの共演曲だ。大合唱が巻き起こったのは言うまでもない。ゴールドの紙吹雪がキラキラと宙を舞い、約1時間半のステージは幕をフィールグッドに閉じた。最後の最後まで、何度もオーディエンスに感謝していたチャーリーだが、5年ぶりのステージは変わらぬ人柄やバイタリティが印象的だった。と同時に、彼の音楽性や才能が、そろそろヒットチャートを彩るポップソングには収まり切らないのではないか、と感じたのも正直なところだ。




Photo by Aysia Marotta

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