モー娘。譜久村聖と井上春華が語る、モーニング娘。として「青春」を過ごす意味

モーニング娘。’23:左から譜久村聖、井上春華(Photo by Rika Tomomatsu)

モーニング娘。’23が通算73作目となるトリプルA面シングル「すっごいFEVER!/Wake-up Call〜目覚めるとき〜/Neverending Shine」をリリースした。リーダーの譜久村聖にとって最後のシングルとなり、新たに加入した17期メンバーにとっては初めての作品となる。1997年から続くモーニング娘。のスピリッツを「継承」するという点でも、2011年からグループを支えてきた譜久村を送り出すという点でも、意義深い3曲が揃った。譜久村と17期の井上春華に話を聞いた。

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—今回のトリプルA面シングルの「すっごいFEVER!」を聴いたとき、つんく♂さんがライナーノーツでも書いていた通り、つんく♂さんの近作の中でもこれは特別な一曲だと直感的に思いました。譜久村さんは最初にこの曲を受け取ったとき、どう感じましたか?


譜久村:愛情の塊だと思いました。ライナーノーツでも「単なる『つんく♂ファンク』だなんて言葉で解決させたくないほどのスマッシュソング」と書かれていて、本当にその通りです。私がモーニング娘。の曲の中で特に大事に歌ってる歌詞が、「What is LOVE?」(2014年)の“たった一人を納得させられないで/世界中/口説けるの”って歌詞なんですが、「すっごいFEVER!」のAメロに出てくる“そのたった一人の意思で時代変える”でも、“たった一人”に着目して歌っています。一聴すると“みんなで歌って踊れる、ハロー!プロジェクトっぽい楽しい曲”みたいな感想が浮かぶと思うんですが、歌詞とのギャップも含めて、フツフツと湧き上がるような楽曲だと思います。



—なるほど。

譜久村:男性の声が入ってるじゃないですか(笑)。ああいうので盛り上げたり、一聴しただけでは歌詞の深さに気づけないところが「モーニング娘。っぽいな」って思いました。ファンの皆さんを幸せにするのが私たちだとして、“今夜君は天使さ”という歌詞は、私たちがステージに上がる瞬間をーーあと“誰より真剣”とか“とにかく輝け”は、メンバー同士で高め合ったり、励まし合ったりしてるところを表現してる気がします。

—歌詞を見てみると、言葉の数はそんなに多くないんですね。

譜久村:そうですよね。すごくスッキリしてるなって思いました。

—シンプルで言葉の数も多くないのに、音楽としては密度が濃い。つんく♂さんもライナーノーツに「新しいのに懐かしい。よくよく聴くと奥深い」って書いてますけど、そういう奥深さって、歌詞のシンプルさにも表れてるのかもしれないですね。

譜久村:歌う人によって伝わり方って変わると思っていて、グサッと刺さる歌詞を後輩メンバーの子たちが歌ってるのもしっくりきます。間奏明けの“とことん楽しめ”“なにより輝け”って歌詞は私と17期メンバー2人のパートになってるので、ここの歌詞を与えられた意味も感じられます。

—17期の井上さん、どうですか?

井上:最初は正直、どういう曲なのかを考えすぎてしまって難しく感じていたんですが、“とことん楽しめ”“なにより輝け”を譜久村さんと歌わせてもらって、それが譜久村さんからのメッセージみたいに感じられて、歌が完成してからの方が曲の意味を考えやすかったです。

—「すっごいFEVER!」は、つんく♂さん印のJ-POPが2023年にアップデートされたような一曲ですよね。でもライナーノーツでは「この曲(歌詞も)を作ったのは数年前」とも「歌うのってタイミングがあるんです」と書いていて、それが譜久村さんの卒業のタイミングで出てきたんだ、と思って。譜久村さんにとっては最後のシングルになりますが、結果的につんく♂カラー全開な曲になっていますよね。

譜久村:すごくうれしかったです。いつもそのときのモーニング娘。にしっかりと向き合ってメッセージを届けてくださるんですけど、この曲も私たちに「これからフィーバーしてけよ、モーニング娘。」っていうメッセージとして聞き取れるなって思いました。私は卒業してしまうんですけど、これからもモーニング娘。にはフィーバーした姿を届けてほしいし、ふつふつとさせるワクワク感を、この曲を通して伝えてほしいなと思います。

—ライナーノーツに、「落ちサビの『Uh』で伸ばした2小節は、一回仕上げたあとで、どうしても足したくなって足したので、譜久村に最後の最後に歌い直してもらってます」と書いてありますが、どんなリクエストがあったんですか?

譜久村:コーラスのレコーディングをこの歌入れと同じ日にしたんですけど、そのときに、ローとハイの両方を録ったんです。そこで録ったハイのパートを重ね合わせたときに、「この音がいい!」ってピンときたらしく、ちょっと変えるかもという話だったんです。その後、変更後の音源がミュージックビデオの撮影の当日に届いて、ちょうど私は撮影スタジオに向かっているときに聴いたんですけど、「そんなに変わらないだろう」って思って聴いたらめちゃくちゃ変わってて、すごくびっくりしました(笑)。コーラス用に録ったものだから心配だったんですけど、録り直しをさせていただいて、より良くなったと思います。あとこの曲は17期にとって初めてのシングルですし、そういった急な変更に追いつけるかなって心配もあったんですが、2人とも全然焦ることなくできましたし、3曲の中でも最後にミュージックビデオ撮影をしたので、最後の最後に面白いことが起きたなって感じで楽しく終われた感じです(笑)。

井上:私も「変わる」といっても、そんなに大きな違いはないだろうと思っていたら、男性の声が聞こえてきて……。

譜久村:(笑)“すごい”っていう男性の声、最初は入ってなかったんです。

井上:びっくりして「あれ!?」ってなりました。でも、びっくりしすぎて焦ることはなくて、逆に面白かったです。「すっごいFEVER!」は踊るところが多い曲なので、振り付けも変わって大変でしたけど、何テイクも撮ることができたのでいっぱい踊れてよかったなって思います。

譜久村:全員にソロパートがある楽曲なんですけど、男性の声が入ったことにより「ソロパートめっちゃ取られた」みたいな気分になって。男性の笑い声がどうしても印象に残っちゃうから、そこに負けないモーニング娘。にしようっていうのは、それぞれがミュージックビデオ撮影のときに思ったんじゃないかな。

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