デュラン・デュランが語る名曲の再解釈、アンディ・テイラー復帰の可能性「席は空いている」

 
ゴス、ハロウィン、ビリー・アイリッシュ

ーサイモン・ル・ボンという人間にゴシック性を見出そうとしましたが、何も思い浮かびませんでした。

サイモン・ル・ボン(以下、LB):正直に言って、俺も否定しない。ニック(・ローズ)はゴスを自認しているし、ハロウィン大好き人間だ。ハロウィンは彼のお気に入りの祝日だ。彼は生まれ変わったら「ニック・“ジ・アンチクライスト”・ローズ」を名乗るだろうね。

ーファンは喜ぶでしょう。

LB:彼は、他人からどう見られようが気にしない。それがニック・ローズだ。

ーあなたとゴスとを無理やり結びつけるとすれば、あなたはかつて“映画『時計じかけのオレンジ』のサントラが人生を変えた”と発言しています。

LB:ゴスではなく、ウェンディ・カルロスに影響を受けたんだ。

ーだからあなたはシンセサイザーを好むようになったのでしょうか。

LB:その通り。シンセサイザーをフィーチャーしたクラシック音楽も好きだ。俺の心に訴えるものがある。

でも、いろいろなアイディアを試してみて、バンドのメンバーの誰かが夢中になれる何かを見つけたら、プロジェクトとしてスタートさせる十分な理由になるだろう。バンドの流れについて行くうちに、自分自身も、これまでとは違った何かに取り組めるチャンスだと気づくのさ。


Photo by Jonas Akerlund 

ーニューアルバムのコンセプトにピンときたのは、どのタイミングでしたか?

LB:俺の場合は「Bury a Friend」(ビリー・アイリッシュ)と「Paint It, Black」(ストーンズ)のカバーからかな。オリジナルとは違った方向性でカバーできるという自信があったからね。

ービリー・アイリッシュの曲の、どこに惹かれたのでしょうか?

LB:ジョン(・テイラー)が持ち込んだ曲だが、聴いてみて衝撃を受けた。パーフェクトだった。「こんなにも華麗なアプローチは、とても真似できない」というのが俺の第一印象だ。でも俺たちのバージョンを形にしていくうちに、ボーカル中心の曲というよりも、明らかにインストゥルメンタル寄りに仕上がっていった。

キング・ギザード&ザ・リザード・ウィザードというバンドを聴いたが、彼らは東方の音階を採り入れていた。調べてみると、ドレミファソラシの2番目の「レ」と6番目の「ラ」の音を半音下げた、ヒジャーズカールという音階があった。この音階を使ってみると、独特のメロディが生まれる。ふと思い付いて「Bury a Friend」のメインメロディにヒジャーズカールを組み合わせてみた。すると曲全体のフレーバーが見事に変わった。この曲が俺たちのものになった、と思えた瞬間だった。



ーあなた自身が選択したカバー曲はありますか?

LB:いや、ない。イーグルスの「Witchy Woman」をやってみたかったんだけどな。

ー却下されたのでしょうか?

LB:採用されなかった。自分のソロアルバムでやるかもしれない。

ーソロアルバムの計画があるのですか?

LB:そうではないが、バンドのメンバーとして活動するのがどういうことかは、君もよく知っているだろう。俺たちは常に、ソロアルバムの制作に取り組んでいるのさ。

Translated by Smokva Tokyo

 
 
 
 

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